沖縄の業況、2期連続プラス 日銀那覇支店12月短観
- 2022/12/15
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は14日、2022年12月の県内企業短期経済観測調査(短観)で、県内企業の景気判断を示す業況判断指数(DI)は、「全産業」で9月調査から10ポイント改善し、プラス22だったと発表した。DIは3期連続で2桁台の改善を示し、2期連続でプラスとなった。観光客や県民の外出機会が増え、需要回復が継続したことが影響した。
日銀那覇支店の短観は、県内143社(製造業24社、非製造業119社)を対象に、3カ月ごとに景況を聞く調査を行い、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数となる。今回の調査期間は11月10日~12月13日で、回答率は100%。
同日、那覇市の日銀那覇支店で会見した飯島支店長は、2期連続でプラスとなったことについて「資源高の影響を受けつつも、観光客や県民の外出機会で増加傾向が続く下で、観光や消費といった需要が回復する動きが継続している」との見解を示した。
また、全国の業況判断DIは全産業で前回から3ポイント改善のプラス6だったのに対して、沖縄が大幅に改善したことについては、観光が基幹産業となる県経済の特性を踏まえ「この3カ月間は、対面サービスを中心とした景気回復の恩恵を受けやすい産業構造になっているところで違いが出た」と分析した。
業種別では、製造業で観光関連需要の増加により業況が改善しているという声がある一方、値上げによる需要減から悪化しているという企業もあり、前回からは横ばいのマイナス4だった。
非製造業では、観光需要と県民の消費需要回復を背景に幅広い業種で改善が見られてプラス27となり、前回から12ポイント改善した。非製造業のうち、建設はコロナ禍で先送りになっていた民間工事が再開されたことなどから、プラス32となり前回から5ポイント改善した。
22年度計画の設備投資額は、前年度比6.1%増となり、2年連続で増加を見込んでいる。飯島支店長は「心強い動きだ」と述べた。
全産業の雇用人員DIは、前回から不足超幅が6ポイント拡大し、最近はマイナス48となり、需要回復が続く中で、サービス業を中心に企業の人手不足感が強まっている結果となった。
新卒採用計画のDI(6月と12月短観のみで調査実施)では、22年度の入社予測が全産業で前年度比マイナス3.6%だった。感染症の影響で採用減が続いたことに加え、中途採用を増やしたことなどが影響した。一方で、23年度の入社予測は、需要が回復していることから同プラス19.6%で増加を見込んでいる。
全産業の先行き業況判断DIは、今回調査から6ポイント悪化してプラス16となった。飯島支店長は、来年以降は全国旅行支援の取扱いが不透明であることや、資源高の影響を警戒している企業が多いとして「現時点では先行きの観光需要を控えめに見ている」と分析した。
また、「資源高を背景に仕入れ価格と販売価格の上昇が沖縄経済に及ぼす影響は注視する必要がある」と話した。
さらに、22年を振り返って飯島支店長は「これまでの2年間は、公衆衛生上の措置が断続的に発出され、(県経済は)全国の中でもかなり厳しい状況が続いた。それが、ようやく今年の春以降、持ち直しが明確になり、3年ぶりに景気は明るい展開になった年だったという印象だ」との認識を示した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞 西田雄一)