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「みんながサンタ!」演劇売上で子どもにクリスマスケーキを 12月18日まで限定企画
- 2022/12/14
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「あなたも演劇をみて、一緒にサンタになってくださいませんか?」ー。
那覇市壺屋の「壺屋演劇場かさね」で、12月18日までのクリスマス限定企画「みんながサンタ!」が開かれている。主催するのは、那覇市の俳優スクール「01ENTERTAINMENT」(ゼロワンエンターテインメント、西平寿久代表)。演劇「サンタがくれたクリスマスケーキ」をほぼ連日公演し、チケットの売り上げを全てクリスマスケーキの購入費用に充てる。24、25の両日、サンタクロースに扮した演者たちが経済状況の厳しい家庭の子どもたちに直接ケーキを届けるチャリティ企画だ。
”体験”を贈るサンタと悩む大学生の物語
舞台の主人公は”体験”を贈るサンタクロースと、人生に思い悩む大学生。学生は安易な理由から人生の幕を引こうとするが、サンタとの出会いをきっかけに虐待やネグレクトに苦しみ、クリスマスに家族とケーキを食べたことのないような子どもたちが沖縄に多くいることを知る。その過程で、自らの人生に対する認識も少しずつ変化していく…。
描かれる内容は今回の企画とリンクしており、強いメッセージ性も帯びる。スクール生で企画の広報を担う大城朱璃さん(22)は「レッスンでチームに分かれ、即興劇をしながら『この設定ならおもしろいね』とか発見を積み重ねてつくりました」と説明する。11月17日に公演を開始して以降も、観客の反応を見ながら伝わりにくい表現を修正して完成度を高めてきた。所属する役者が日替わりで様々な役を演じ、ほぼ毎日公演する。
取材に訪れた12月5日、中学2年生の新里はなさん(14)は、夜に親が仕事でいない生活が日常で、クリスマスにケーキを食べたことがない子どもの役を務めた。難しい役柄に対し、「この子にとって、クリスマスにケーキを食べられるのは人生で一番幸せなこと。その思いを想像しながら演じました」と振り返った。
虐待を受け、うつむく子どもを演じた木村愛音さん(16)は「劇を見て、多くの方に現状を知ってもらいたい。一人でも多くの子どもに笑顔を届けられるように、是非観に来てください」と呼び掛けた。来場者には子どもたちへのメッセージカードと写真撮影にも協力してもらっている。
「助けてくれる人はいると感じてほしい」
ケーキは那覇市内のケーキ屋に計50個を作ってもらい、10代の親やひとり親家庭など厳しい経済状況に置かれた家庭の子どもたちに直接持って行く。クリスマスイブの24日とクリスマスの25日、演者たちが複数のグループに分かれ、サンタの格好で県内各地を巡る。
各家庭に届くのはたった一つのケーキではあるが、演者たちが込める思いは強い。大城さんが言う。「その家庭の経済状況を変えることはできないけど、子どもにとってサンタさんが来てケーキをもらったという経験は大きいと思います。大きくなった時、同じような環境の子に同じ経験を届けてくれるかもしれません。親御さんにも、まわりに助けてくれようとする人はいる、一人で抱え込まなくていいということを感じてほしいです」
演劇の台本作りや企画の広報だけでなく、ポスター作りやケーキ屋探しなども含めて全てスクールの生徒たちが担う。劇をつくるためには演じること以外にどれくらいの苦労があり、どれくらいの人が携わっているかを知ることも役者としての質を上げる要素になるというスクールの思いがあるという。
またスクールの代表で、現役の役者でもある西平寿久さんは企画の根本に演劇を「知ってもらう」という狙いもあると話す。県内で演劇を観ることが生活の一部になっている人は数少ないのが現状だ。それを念頭に「多くの人にとって、演劇はまだ『必要のないもの』というのが現実です。ただ演じるだけでは、簡単に人は来ません。演劇が少しでも世の中に必要とされるためにも、こういった企画を通して認知を広げていきたいです」と説明した。
〈公演情報〉
・日程:11月17日(木)〜12月17日(土)19:30開演
12月18日(日)13:30時開演/17:30開演
・場所:壺屋演劇場かさね(那覇市壺屋2-23-26)
・料金:一般 2,000円/18歳以下 1,000円/小学生以下 無料