沖縄の10月有効求人倍率1.09倍 4カ月連続1倍超
- 2022/12/1
- 経済
沖縄労働局の西川昌登局長は11月29日、県庁で会見し、2022年10月の県内有効求人倍率(就業地別・季節調整値)が前月比0.02ポイント上昇の1.09倍となり、4カ月連続で1倍を超えたと発表した。全国と比較しても沖縄県の改善傾向は大きく、都道府県別で2年10カ月ぶりに全国最下位を脱し、神奈川県(1.08倍)を上回り46位となった。10月の雇用情勢判断は「求人が求職を上回り改善している」とし、7月以来3カ月ぶりに上方修正した。
有効求人倍率は雇用動向を示す重要指標の一つで、ハローワークで仕事を探す人1人当たり何件の求人があるかを示す数値。倍率が高いほど職を得やすい状況となる。
10月の雇用情勢判断は「求人が求職を上回り改善している」として、前月の「改善の動きが続いている」から上方修正した。一方で、「新型コロナウイルス感染症や物価上昇が雇用に与える影響に注意する必要がある」とも指摘した。
月間有効求人数(季節調整値)が3万3016人となり、前月比130人(0.4%)増加したことについて同局は、全国旅行支援の開始や台湾・香港からの国際線の運航再開などで、観光客が増加して宿泊業・飲食サービス業が引き続き堅調となっているほか、観光関連の小売業やゴルフ場などの娯楽業などでも波及効果で求人増が続いていると分析した。
主要産業別新規求人数の伸び率では、ゴルフ場などを含む生活関連サービス業・娯楽業の前年同月比56.3%が最も高く、次いで、他に分類されないサービス業(労働者派遣業など)が同54.3%、卸売業・小売業が同40.9%などと続いた。
西川局長は、月間有効求人数(季節調整値)と新規求人数(同)がともに増加し、コロナ禍前との比較でも9割を超えている状況を踏まえて「求人数だけで見ると、コロナ前に近い状態に戻ってきている」との認識を示した。
一方で、産業や業種、職種を問わない人手不足感が一層強まっているとして「人材確保を懸念する声は大きくなっている」と指摘。さらに、原材料価格やエネルギー価格の上昇が続いているほか、電力価格の上昇を懸念する声も多くの事業者から聞こえているとして「求人の動向にどのような影響を与えるかについて注視していく必要がある」と強調した。
県内5カ所のハローワーク別の有効求人倍率も、観光客の増加を背景に、観光関連産業で求人が増加し、いずれも前年を上回った。特に、宮古・八重山では業種・業界を問わず人手不足が続いていると説明した。
ハローワークを通じた就職件数は1439件(常用及び臨時・季節を合わせた総数)で、前年同月比9件(0.6%)増加した。就職件数が増えるのは3カ月ぶり。
10月の県内正社員有効求人倍率(原数値)は、前年同月比0.15ポイント(前月比0.04ポイント)上昇して0.65倍だった。全国平均は同0.13ポイント(同0.02ポイント)上昇して1.04倍だった。
西川局長は、コロナ禍前と後の雇用・採用状況の変化について賃金の上昇を挙げ、「今後も上昇傾向は続く」との見解を示した。加えて、全国的にも非正規雇用の割合が高い観光関連産業や宿泊・飲食業において、安定的な人材確保に向けた積極的な正社員採用の必要性を訴え「次のステップとして重要になってくる」と強調した。
県が同日発表した完全失業率(原数値)は、前年同月比0.2ポイント改善して2.5%となった。完全失業者数は前年同月から1000人減少して、1万9000人。
(記事・写真 宮古毎日新聞)