【那覇市長選】「身内対決」は自公推薦の知念氏に軍配 翁長氏に1万票差で初当選
- 2022/10/24
- 政治
県都・那覇市の市長選が23日に投開票され、無所属新人で政権与党が推す前副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=が64,165票を獲得し、初当選を果たした。無所属新人で「オール沖縄勢力」が支援する前県議の翁長雄治氏(35)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=に10,040票差を付けた。投票率は前回比1.14ポイント減の47.05%で、過去4番目に低い数字だった。
前市長で「オール沖縄」を構築した故翁長雄志氏(前知事)から見て知念氏は市長時代の側近、翁長氏は次男だったため「身内対決」と称された今選挙。知念氏は38年間に渡る行政経験が高く評価されたほか、雄志氏の後継として8年前に初当選し、オール沖縄の一翼として2期8年市長を務めた現職の城間幹子氏(71)が告示直前に知念氏の支持を表明したことも追い風になったと見られる。
那覇市長選の結果は以下の通り。(選管最終)
知念覚氏(59) 無・新 64,165票
翁長雄治氏(35) 無・新 54,125票
知念氏「明日から“即戦力”を示していきたい」
「早速ではございますけれども、もう私は次のことしか考えておりません。明日からでも、しっかりと市民の皆様に恩返しをすべく、“即戦力”を示していきたい考えです」
当選確実の報を受けてマイクを握った知念氏が、そう力強く宣言すると支持者から大きな拍手が沸き、「そうだ!」「いいぞ!」と合いの手が飛び交った。
那覇市牧志の後援会事務所に午後10時ごろ姿を見せた知念氏は、大きな拍手で迎え入れられた。司会がメディア各社の開票速報を読み上げ、翁長氏との票差が徐々に開いていくにつれて支持者たちのリアクションの拍手の音量が大きくなっていく。そんな中で知念氏は少し緊張したような面持ちで静かにモニターを見つめていた。
午後10時50分ごろ、地元紙が出した当確の一報のアナウンスで歓声と拍手が起こったが、司会「まだ1社ですので」となだめつつ、その5分後に地元テレビからも当確が出ると大きな歓声と拍手が巻き起こり、会場は喜びに包まれた。
知念氏はマスク越しでも分かる安堵の表情を目元にたたえて、静かに立ち上がって支持者に向かって礼をすると、すぐさま選対本部長の久高友弘那覇市議会議長の音頭でバンザイ三唱を高らかに唱和した。
当確の報を受けてマイクを手にした知念氏は、「選挙戦に入る前から、やはり知名度が低いということで、様々な方法で私をここまで押し上げていただきました。本当に1人1人のお力、ご尽力に心より感謝申し上げます」と真っ先に支持者への感謝を示す。
有権者からの支持を得た要因については、市役所の仕事に総合力が必要なことと、自身の副市長経験も踏まえた実績を訴えてきたことで「即戦力を市民の皆さんに実証してみせたいという私の姿勢が評価されたと考えている」と述べた。
城間市長の支援「かなり大きかった」
城間市長からの支援を得られたことについては「かなり大きかったと思います」と振り返った。「『市民のために、市民とともに』というスローガンの下、8年間をともにしてきたことで、『知念覚が次に相応しい』という判断だったと思うんです。その延長線として『しっかりしなさいよ』という意味で託されたと思っていますので、この市民目線はずっと貫き通していきたいと考えています」。
第一に取り組みたいことについて知念氏は「経済状況の回復」としつつ、自身が公約に掲げた7つの短期的重点政策に尽力する方針を示した。加えて那覇市総合計画についても「遅れている部分にしっかり取り組んで、早めに中間地点に持っていきたい」と説明した。
午後11時40分ごろには、知念氏がおもろまちにあるもう一方の後援会事務所を訪れ、待ち構えていた城間市長とグータッチを交わした。支援者らが見守る中、城間市長と知念氏の2人が壇上に上がる。城間市長は「私が2期8年預かってきたバトンを渡す人の姿が、やっと目の前に現れました」と満面の笑みで手製の“市長のバトン”を知念氏に手渡した。
城間市長は「新市長になったからには『32万名は市民のために、市民とともに』という合言葉のもとで、市役所が最大のサービス機関であるという基本理念をしっかりと体現していただきたい」と述べ、知念氏を激励した。