【那覇市長選】翁長・知念両陣営が最後の訴え きょう投開票
- 2022/10/23
- 政治
任期満了に伴う那覇市長選は、無所属新人で「オール沖縄」勢力が支援する前県議の翁長雄治氏(35)=共産、立民、社大、社民、れいわ、にぬふぁぶし推薦=と、無所属新人で政権与党が推す前副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=の一騎打ちで選挙戦が繰り広げられており、10月23日に投開票を迎える。選挙運動期間最終日の22日夕、両陣営は那覇市内で支持者らを前に打ち上げ式を開き、当選に向けて支持拡大を訴えた。
翁長氏「子育て日本一の那覇市を共に」
翁長氏はこの日、市内各地の交差点や集合住宅前、公園などでスポット演説を行い、午後5時から県民広場で「ラストスパート集会」と銘打った打上式に参加。イメージカラーの緑の鉢巻を巻いた支持者が集結し、共に必勝を誓った。
「私が子どもたちに見せたい大人の姿は、ここに結集している、諦めない市民の皆さんの後ろ姿です」。マイクを握り、開口一番でそう強調した翁長氏。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題に触れた上で「私たちは何度国に対して、全国に対して反対を言ってきたでしょうか。何度諦めさせられるような政策がとられるのでしょうか。それでも県民、市民は諦めず、歩んできた。この選挙も、そのための大きな戦いにしていきましょう」と呼び掛けた。
選挙戦では「子育て日本一の那覇」をキャッチフレーズに掲げ、政策を訴えてきた。自身の「一番大きな公約」には那覇市独自の児童相談所の設置を据える。県が市内で運営する中央児童相談所では、対応する子どもの半分以上が那覇市内の子どもだといい、業務が逼迫して十分なサポートが難しい状況だという。その上で「子どもの権利を守る、安心安全を守るためにも、中核市の那覇は児童相談所を設置する義務がある」と断言した。
女性に対し、過去に自身が放ったセクハラ発言を念頭に「皆さんもご承知のように、過去の言動でいろいろとご心配をお掛けしています。私も完全な人間ではございません。行政経験もございません。しかし、那覇市をつくるのは市長1人でしょうか。市民の声がないと街づくりは立ち行きません。私が提示した『子育て日本一』という幹に皆さんが枝葉を付けていただき、那覇市という大木を一緒につくっていきましょう」と述べ、市民と協働の街づくりを強く訴えた。
激励の挨拶で登壇した照屋義実副知事は、前知事であり、前那覇市長の故翁長雄志氏について「自民党から共産党まで一緒になり、県民が団結することこそが一番大事だと話し、命を懸けて最後まで全うしました」と振り返り、その上で「雄治さんは息子として、若い政治家としてその人生を見続け、5年間の激動する政治情勢の中で大きく成長を遂げました」と評価し、支持を求めた。現職の城間幹子市長にも触れ、「雄志さんから何を学んだのか。私は憤慨に耐えません」と怒りをあらわにした。
知念氏「市民のための温かい那覇市を」
知念氏の陣営は、打ち上げ式をおもろまちの後援会事務所で、中締め式を牧志のむつみ橋交差点付近で開くという“二段構え”で最終日夕方を迎えた。中締め式は沖映通り沿いに多くの支持者が詰めかけ、知念氏のノボリやパネルを掲げて「さーとーる、さーとーる」とコールしながらアピール。応援弁士として河野太郎デジタル相も登壇したため、周辺には警備にあたる警察官も多く配置されており、緊張感も漂っていた。
拍手で迎えられてマイクを握った知念氏は「初めての選挙です。皆さんが自分の時間を削って、応援をしてくれている。こんなにも支えられて生きていると実感したことはありません。本当にありがとうございます」と、開口一番に感謝を述べた。
「この選挙、負けるわけにはいきません」。そう力強く声を発し、相手候補と重ねてきた討論に触れながら「まさしく、私は『即戦力』です」と続け、市政に携わった「38年の蓄積」をしてアピールした。副市長としての経験も含めた実績と、長年の行政経験に基づく即戦力を前面に押し出して今回の選挙を戦ってきた知念氏。コロナ禍による経済的打撃、市民生活を直撃する物価高騰に「即効性のある政策を打つ」と訴えてきた。
相手候補の翁長氏については「やはり『翁長』という名前は強敵だと、ひしひしと感じております」と言及。「でも、私はやらなければならない。宿命なんです、これは」と声に一際力が入る。「必ず市民のために、市民とともに、温かい那覇市を作り上げてそれを全島に広げていく。そういう政治をさせてください」と強調して「よろしくお願いします!」と繰り返し、四方に頭を下げながら支持を求めた。
中締め式に先立って行われた打ち上げ式では城間幹子市長がマイクを取り、「私は(那覇市長の)バトンを持って、知念覚が握ってくれることを心待ちにしております」と述べて激励した。選挙戦の期間、知念氏とともに地域を回る中で「知念覚の語る言葉の中に、那覇市に対する愛情と責任の気持ちを感じ取ることができました」とし、「城間市政の後を受け継ぐのは自分であるという覚悟が見えました」と続けた。自身の政治姿勢については「保守中道」と改めて強調した上で、党派を超えて「市民のために、市民とともに知念覚を働かせてください」と訴えた。
那覇市選挙管理委員会によると、10月15日現在の選挙人名簿登録者数は25万7,645人(男性:12万3,259人、女性:13万4,386人)となっている。また、市長選と同日の告示、投開票で那覇市議補選(欠員1)も実施される。市議補選には届け出順に、いずれも無所属の上地健司氏(42)、川満昇治氏(57)、永山盛太郎氏(58)、「官と民が命がけで助け合えば貧困はなくせます党」の屋辰夫氏(70)が立候補している。