沖縄の景況16ポイント改善 日銀那覇短観「しっかり回復」
- 2022/10/4
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は3日、2022年9月の県内企業短期経済観測調査(短観)で、県内企業の景気判断を示す業況判断指数(DI)は、「全産業」で前回調査(6月)から16ポイント改善し、プラス12だったと発表した。DIがプラス値となるのは19年12月調査以来11期ぶり。飯島支店長は「しっかり回復してきている」との認識を示した。
同支店の短観は、県内143社(製造業24社、非製造業119社)を対象に、3カ月ごとに景況を聞く調査を行い、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数のこと。今回の調査期間は8月29日~9月30日で、回答率は100%。
3日、那覇市の日銀那覇支店で会見した飯島支店長は、6月調査の15ポイント改善に続き、2期連続で大幅に上昇したことを受け「勢いとしては、しっかり回復してきている」と説明した。また、新型コロナの影響でDIがマイナスとなった20年3月の水準を超えたことを踏まえ「コロナ前の水準に戻りつつある」とした。
業種別では、観光客や県民の外出機会の増加に伴い、幅広い業種で改善が見られ、製造業が前回から13ポイント改善してマイナス4、非製造業は同17ポイント改善しプラス15となった。非製造業のうち建設は、プラス27で高い水準を維持したものの、公共工事の受注に関して競争が強まっている影響で前回調査からはマイナス5ポイントとなった。
飯島支店長は、9月短観を受けた県内景況について、感染症の抑制と経済活動の両立が進む中、観光客が増えたことで需要の回復基調が維持され、持ち直しの動きが続いたことが確認されたとする一方で、資源価格上昇によるコスト増による販売価格の引き上げが、今後の企業収益や消費動向に及ぼす影響については注視する必要があると分析した。
また、円安が県経済に与える影響については「これまでは仕入れコスト上昇というネガティブな影響の方が大きかったが、先行きでインバウンドが戻ってくると、円安のメリットが享受できるようになるということで、企業としてかなり期待している部分は大きい」と述べた。
「全産業」の変化幅でみると、全国が1ポイント改善だったのに対し、沖縄県では16ポイントと大幅な改善となった。飯島支店長は、観光が基幹産業の県経済において、春以降の人流回復と新型コロナで抑制されてきた観光への需要が一気に回復するベントアップ需要の影響により、沖縄では全国に比べても回復が大きくなっていると指摘した。
県内の先行きDIは、「全産業」で9月調査比2ポイント改善のプラス14となった。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)