DXで英語教育に革新 16か国との交流も 沖縄発「WorldClassroom」

 

 HelloWorld株式会社(沖縄市)が開発・運営する、音声認識技術を活用したオンライン英語教育プラットフォーム「WorldClassroom」が昨年度に実用化されて以来、沖縄県内外の中学・高校計34校、約1万5000人に導入されるなど英語教育のDX促進に寄与している。英語発音能力を自動で点数化し、スピーキング能力を生徒自ら伸ばせることに加え、ウェブ上で一元的に点数管理ができるため教員の業務効率化にもつながっている。さらに、ウェブ上で世界各地の教室とつながり合う機能を駆使し、今年度には15か国との交流を進めている。

音声認識でスピーキングが即時点数化

 「WorldClassroom」の機能は主に2つある。

 1点目は音声認識技術を活用し、パソコンのマイクに向かって生徒が読む例文発音の正確さを自動で点数化することだ。何度でも繰り返し挑戦でき、その場で点数がフィードバックされて成長過程がグラフで可視化されるため、ゲーム感覚で英語学習に励むことができる。これらを授業の一部に採用することで、生徒の学びをより個別最適化できることが期待される。

 2点目は海外の学級とオンラインでつながり合うことで、生徒たちが日々磨いたスピーキングの成果を発表したり、1対1のコミュニケーションを通して英語の実用性を実感できたりできることだ。2021年度には名護市教育委員会と連携し、名護中学校がトルコと、大宮中学校がミャンマーとそれぞれつながり合い、交流した。現在はキルギスや台湾、韓国の学校との連携強化を進めている。

 現在の学習指導要領は、外国語教育の内容を「読む」「書く」「聞く」の他、「話す」をさらに「やり取り」と「発表」の2つに細分化する「4技能5領域」に分類しており、より主体性が求められる「話す」分野に対応した形だ。

 さらに「生きた英語」の学びをどの生徒にも平等に提供する役割も期待される。同社の海外統括ディレクターである長田愛可さんは自身の経験から「経済的事情から、中学高校時代に英語塾に通えなかったり、留学の機会を得られなかったりと悔しい思いをしました」と振り返り「WorldClassroomを学校に導入することで、クラス内の全ての生徒が同じ学習機会や海外の同世代との交流の体験を得られるようになります」とその意義を語る。

多忙な教員の業務効率化も

 このようなツールを使うことで学校教育のDX化が進むことは、子どもたちの学びの質向上だけではなく、教員の業務改善にもつながる。「話す」についての従来の評価方法として、教員は生徒が英語で発表している動画を1つずつ見返しているという現状があると同社は指摘する。学校や学級によっては生徒40人分の動画を1人の教員が業務時間外で評価をしなければならず、教員からは「時間がいくらあっても足りない」との声が寄せられていた。

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