沖縄県知事選 観光関連政策は?マニフェスト発表会に3氏が登壇

 

 9月11日投開票(8月25日告示)の沖縄県知事選挙を前にして、立候補予定者に観光政策を問う「沖縄県知事選挙立候補予定者による観光マニフェスト発表会」(主催・一般社団法人沖縄観光の未来を考える会、同発表会実行委員会)が18日、那覇市のパレット市民劇場で行われた。登壇したのは50音順に佐喜眞淳氏(前宜野湾市長)、下地幹郎氏(前衆院議員)、玉城デニー氏(現沖縄県知事)の3氏で、コロナ禍に苦しむ観光業界への対応策や人材育成などについて意見を述べ合った。

知事選時期には毎回開催

 沖縄観光の未来を考える会は県知事選の時期には毎回、観光マニフェスト発表会を実施しており、今回で4回目。その他にも同会は、民間の立場から沖縄県や研究機関に政策提言を重ねている。

 質問は全部で4つで、発言時間は1問につき各4分。公正を期すため3氏の発言順は設問ごとに変更された。本記事では便宜上、どの質問についても佐喜眞氏、下地氏、玉城氏の順で掲載する。

早期の観光回復について

 早期の観光回復についての考えを聞く質問に対して、佐喜眞氏は「行政と観光関連産業のみなさまとの信頼関係が一番重要だと思います」と開口一番述べた。「コロナ禍の(昨年、一昨年の)2年間で、1兆円規模を損失しています。しかし行政は観光関連産業に対して話を聞く機会すら与えなかった」と現県政を批判した上で「県庁内に観光復興のための特別な組織を立ち上げ、事業者の皆様と知事、副知事が意見交換をする場を設けることを約束します」と話した。

 下地氏は「早急な観光回復に向けて、県知事が経済に舵を切るということを明確に打ち出さなければダメです」と言い切った。政策面においては、水際対策として飛行機内での新型コロナ検査・入域時の検査証明発行と、PCR検査の24時間対応を明言。「この2つをすぐに進めたい」とした。また、航空会社への搭乗率補償を出すことで沖縄離発着の便数を確保することや、県が主体となった観光客誘致キャンペーン、レンタカー会社への車両購入補助にも言及した。

 玉城氏は「観光は沖縄のリーディング産業であり、沖縄観光の回復・復興なくして沖縄経済の回復はありえない」として観光施策の重要性を示唆。「担当部局が意見交換を重ね、6月に沖縄観光の回復・復興に向けた考え方を策定させて頂きました」と述べた。具体的な内容として、経営支援による観光インフラの回復や事業者復活支援金、需要喚起策などを挙げた。さらに「那覇空港国際線の路線回復と段階的な外国人観光客受け入れの準備についても国と協議し、準備を進めています」と話した。

観光関連の目玉政策は?

 観光関連の目玉政策について問われた質問で、佐喜眞氏は自身の目玉政策の一つである「1000億円規模の支援」に触れた。「まずやるべきことは『守る』ということだと思います」とした上で、諸外国の観光地では固定費の補填などで損失を補償しているとの例も挙げ「再び希望が持てるような補助制度を創設し、支援して参りたいです」と決意を語った。また「中長期的に沖縄観光をさらなる高みへ押し上げるために、『沖縄観光復興計画』の策定を急ぎたい」とも話した。

 下地氏は、2年間かけて考えたという沖縄振興策の内容を述べた。特定免税店での免税適用額上限の20万円から100万円への引き上げ、ホテルのリノベーションや通信網整備などへの税率軽減、医療ツーリズムの誘致、鉄軌道の着工、下地島空港からの宇宙旅行プロジェクトの実現に向けた支援など10項目を盛り込んだ。「観光がリーディング産業と思うんだったら、具体的に法律に明記しなければダメなんですよ。政権与党の自民党も、県政でもやっていないことが問題です」と批判した。

 玉城氏は「県民、観光事業者、観光客の全てが幸せな『三方良し』の社会経済の形成」を掲げた。沖縄独自の観光コンテンツ開発による滞在日数の延伸、AIやIoT、ビッグデータの活用などによる生産性と付加価値の向上、世界中のビジネスパーソンが集うワーケーション拠点づくり、自然や歴史、文化などのソフトパワーを生かした持続可能な海洋島しょ県の形成を軸に「今後10年間で年間観光収入1.2兆円、4200万人泊の目標達成に向けて取り組んで参ります」とした。

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