ペルー県系社会に「市町村会」 郷土愛脈々受け継ぎ110年超
- 2020/8/30
- 社会
世界遺産マチュピチュや神秘的な古代遺跡、アマゾンの秘境など魅力溢れるペルーに、沖縄県系移民によって作られた「沖縄県人会」があり、さらには「市町村人会」もあると知った時は驚きや感動よりも疑問が先だった。なぜ沖縄から遠く離れた地に市町村の会があるのだろうかと不思議だった。
ペルーには、沖縄県人会の他に、沖縄市人会や南城市人会、西原町人会などそれぞれの市町村の出身者で作られた会が存在し、他の国に比べて市町村愛が強い。市町村の絵が描かれた壁画や市町村のパレード、市町村対抗スポーツ大会に加え、市町村別で独自の行事や交流会を行うほど、市町村愛に溢れている。
ペルーはなぜこんなにも市町村愛が強いのか?市町村を絡めた取り組みなど、ペルー沖縄県人会の小波津カリナ文化部長に話を聞いた。
市町村の絵が描かれた壁画、ペルー沖縄県人会の駐車場
現在、沖縄にルーツを持つ海外在住の沖縄県系人は26ヶ国に広がり約42万人。うち、ペルーはブラジル、アメリカに次いで3番目に多い約7万人の沖縄県系人が住んでいる。さらに、ペルーの日系人は約10万人に登り、その7割が沖縄県系人といわれ、ペルーの日系社会を支えている。
ペルー沖縄県人会の敷地内へ入ると、駐車場で真っ先に目にするのが市町村をテーマにした壁画。南城市やうるま市の前身となる合併前の旧市町村もある。
中城村は世界遺産の中城城跡と護佐丸、与那原町は沖縄県の三大大綱引きの一つである与那原大綱曳、名護市は名護市役所が描かれるなど市町村の伝統文化や特徴が描かれている。
小波津さんは「ペルーは沖縄愛と同じぐらい市町村愛を強く持っている」という。その理由を「市町村は小さなグループでみんなが家族のような関係。アイデンティティーがあって愛が強いんです」と話した。
沖縄からペルーへの移民は今から111年前。昨年2019年にペルー移住110周年を迎えた。100年以上という時の流れのなかで出身市町村への誇りとアイデンティティーが世代から世代へと代々受け継がれている。今では4世、5世となった若い世代にも市町村のアイデンティティーが受け継がれ、他の国の県人会社会とはまた違ったエネルギーをペルーに感じた。