沖縄県、合意案を受諾 本島南部での鉱物採掘
- 2022/6/25
- 社会
沖縄県の玉城デニー知事は24日、県庁で臨時会見を開き、沖縄本島南部の沖縄戦跡国定公園普通地域内で計画されている鉱物採掘行為について、総務省公害等調整委員会から出されていた合意案を受け入れると発表した。
県は2021年5月14日、この採掘行為は我が国唯一の戦跡としての性格がある戦跡公園の風景に著しく影響を与えるとして、「戦没者遺骨の有無について関係機関と連携して確認し、関係機関による遺骨収集に支障が生じないよう措置を講じること」などを柱とする措置命令を発出している
これに対し、事業者側は21年8月4日、総務省公害等調整委員会に裁定を申請。同委員会は今月14日、話し合いによる解決を図るため、県と事業者の双方に対して合意案を示した。
合意案では、採掘場所を▽22年1月までに遺骨調査が行われた場所▽土を盛った可能性がある場所▽遺骨調査の必要がある場所―に分け、事業者の採掘工事は遺骨調査が行われた場所、土を盛った可能性がある場所の順に行うとしている。
また、工事の際に遺骨が発見された場合については、事業者が周辺の半径5メートルで工事を2週間中止し、戦没者遺骨収集情報センターなどによる遺骨収集を認めるとした。遺骨調査の必要がある場所の工事は、2024年11~12月にかけて実施するとした。
このほか、削り取った表土は一定の場所に保管し、埋め戻しまでの間は同センターでいつでも調査可能な状態にする。
玉城知事は会見で、「県としては、合意案は措置命令の内容をおおむね反映していると判断し、これを受け入れた」と述べた。
また、「事業者は今後、合意案に基づき作成される新たな届出書の内容に沿って、採掘の工事前や工事中必要な遺骨調査・収集への配慮など、同公園の風景を保護するため、県民の心情にも配慮して適切に対応していただけるものと考える」と強調した。
遺骨収集ボランティア代表は反対
玉城知事は同日、会見の前に県議会で合意案の受け入れを表明していた。これに対し、これまで遺骨収集を行ってきた遺骨収集ボランティア・ガマフヤー代表の具志堅隆松さんは抗議文を発表。「強く抗議し、撤回を求める」とコメントした。
抗議文では、「22日に和解案の概要について県から説明を受けたが、内容はあまりに問題が多いものだったため、22日に口頭で疑問点を指摘し、24日朝には県庁前広場で約40人が緊急抗議集会を開き、所管の環境部に知事宛の『和解案の受諾に強く反対する』という要請書を提出した」「県民や直接の当事者であるご遺族に対して説明もないまま、突然、受諾表明されたことは納得できない」として強く反発している。
(記事・写真 宮古毎日新聞)