沖縄県春季高校野球 沖水が25年ぶり優勝、沖尚に6ー1
- 2022/4/9
- エンタメ・スポーツ
第69回沖縄県春季高校野球大会は9日、北谷町のアグレスタジアム北谷で決勝を行い、沖縄水産が6ー1で沖縄尚学を破り、25年ぶり10度目の優勝を飾った。準決勝までの4試合で53得点を挙げた沖水と、5試合でわずか1失点という沖尚の”矛盾”対決は沖水に軍配が上がった。
沖水は4月23~28日に宮崎県で開催される第150回九州地区大会に県代表として出場する。九州への出場は7季ぶり28度目となる。
犠飛や相手の失策で初回に2点を先制した沖水。二回に沖尚5番の川満渚生にソロホームランを打たれたが、三、四回にも1点ずつを追加し、さらに六回にスクイズと8番比嘉秀慈の右前適時打で2点を加え、勝負を決めた。
決勝の前に行われた順位決定戦は、前原が宮古に4ー2で勝利した。
ピンチを楽しむ「エンジョイベースボール」
打席から帰ってくる選手が次の打者に相手投手の球質を伝え、守備でも声掛けが途絶えない。沖縄水産が掲げたのは「エンジョイベースボール」。再三のピンチにも出場している選手とベンチが前向きさを貫き、最少失点で頂点に立った。
チームテーマを最も体現したのは先発の上原昂也だ。毎回のように安打や四死球で走者を出すが、得意のカーブやキレのある直球を武器に、奪三振はゼロながら凡打の山を築き、適時打を許さない。陽射しが強く、暑さが堪える中、八回1死までを一人で投げ切った。
「抑えた時は『やった』という気持ち。ピンチのヒヤヒヤ感も楽しめた」と頼もしい。準決勝で興南に逆転負けを喫した昨年の秋季大会は「全然回りが見えていなかった」と満足のいく投球はできなかったが、今大会を通して「ピンチにも落ち着いて投げられるようになり、成長を感じられた」と頬を緩めた。
相手に8安打を許し、チームの失策も三つ。上原忠監督は「1点で抑えてくれるとは思わなかった」と少し苦笑いを浮かべた。それでも昨秋から課題としていた守備を徹底して鍛え、選手のポジション変更もはまったと良い、大会を通して「秋よりは守りが良くなっている」と評価した
3安打の1番バッター川端主将
「自分がキャプテンだから、自分が先頭で塁に出るとチームの指揮が上がる」
沖水のリードオフマンを務める川端南海斗が、強い自覚をにじませた。言葉通り、初回に中前打で出塁し、先制のホームイン。6打席で3安打2四球と高い出塁率を記録し、相手投手にプレッシャーをかけ続けた。
名門同士の決勝。「沖縄尚学はこれまで沖縄水産のライバルで、天敵のようなチーム。より一層気合いが入った」と、優勝が決まった瞬間は全身で喜びを爆発させていた。
春夏続けて出場した1998年以来、甲子園から遠ざかってる沖水。本命の夏に向け、川端は「自分達のバッティングは自信があるし、申し分ない。でも守備で3エラー。投手はいいピッチングをしてると思うので、投げやすい環境を夏までに築いていきたい」とさらなる守備の改善を見据える。
準優勝の沖尚 夏へ成長誓う
何度もチャンスを迎えながら、残塁11で1得点にとどまった沖尚。守りでも4投手がマウンドに立って計10四死球と安定さを欠き、今大会で際立った堅守は影を潜めた。
「単純に自分達の力不足。沖水にのまれて、自分達のペースをつくれなかった。本番に弱い。悔しいの一言です」
前盛魁来主将はそう振り返り、声を落とした。甲子園出場が懸かる夏に向け「春で出た課題をしっかり反省し、ワンプレーワンプレーを大事して取り組みたい」とチーム力の底上げを図っていく。