「戦後から変わらぬ保育士配置基準改善を」全国保育推進連盟青年部・當銘副部長

 

 未だ収束の目処が立たず、長らく続いているコロナ禍。さまざまな場所で緊急的な対応が迫られており、保育現場も例外ではない。感染防止で運動会のオンライン視聴や、時間差登園などの対策が進められた一方で、保育士の待遇改善や子どもの貧困など、以前から積もっていた課題もより浮き彫りになっている。

 保育の専門家としての立場で政治の場へ働きかける「全国保育推進連盟」青年部副部長であはごん保育園(糸満市)園長の當銘孝文さんに、岸田内閣の評価や、今後政界に訴えなければならないことを聞いた。

 2021年を振り返り、2022年の沖縄を見据える年越しインタビュー第6弾。

科学的に保育のアプロ―チ「重要性の認識を」

―コロナ禍の2021年を保育の視点からどう振り返りますか。

「コロナ禍の2年目で、現場ではいろんな対応が進んでいったと思います。2020年に新型コロナが県内でも出始めた時は、各保育施設としてもどのように対応すべきなのかが分からなかった面がありました。2021年は前年の反省を生かしながら、例えば保育園の行事をオンラインで行ったり、各クラスに時間差を付けて密を避けたりするなどの工夫ができた1年でした。このような変化がある中で、保護者のみなさんとも相談しながら足並みをそろえることができました」

―園の行事のオンライン化にはどのようなものがありますか。

「運動会をただ配信するのではなく、テレビの生放送かのようにカメラを2台も3台も使って切り替えながら配信しました。私たちの園は2020年から取り組んでいましたが、今では多くの園が取り組んでいます。できないと諦めずに『できること』の実現に向けて取り組んでいきました。やはり子どもたちの運動会は“リアル開催”に越したことはないのですが、保護者のみなさんからは『配信でやってもらえただけでも感謝しています』と好意的な声が多かったです」

―保育士はエッセンシャルワーカーとしてワクチンの優先接種の対象となりました。

「国が保育士をエッセンシャルワーカーとして認めてくれたのは大きかったです。『保育園があるから、保護者が仕事に行ける』ということを明確にしてくれました。一方で、給与水準の低さが引き続き課題となっています。保育の仕事の必要性に対して十分な対価が支払われる程の社会的認識が得られていないということの表れになっているのかと思います」

―給与水準の低さについては特にどのような原因が挙げられますか。

「国が想定している保育時間は8時間とされています。しかし『子どもを預けて出勤し、仕事を終えて子どもを迎える』ということは8時間ではできません。1日8時間勤務の会社員が1時間の休憩を挟んで定時で帰ったとしても9時間はかかりますよね。そういった事情を鑑みて、保育園は実際には1日11~12時間ほど開いています。しかし人件費については原則として、保育士1人あたり、1日8時間分の計算でしか国から下りてきません。そうなると現場の保育士みんなで限られた人件費を分け合うことになるので、保育士の平均的な給与が下がってしまうということになります。

 保育の質を上げるために社会的な理解をもっと促して、保育士の待遇を上げることが不可欠なんだということを伝えていきたいです。まだ一部では『保育士は子守りをしているだけ』という勘違いがあると思いますが、全然違います。日々、科学的に『育ち』のアプロ―チをしています。保育の重要性は教育と同等かそれ以上です。0~5歳という、子どもたちが育っていく重要な時期の教育を担っている場所が保育園や幼稚園、こども園なんです」

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