沖縄県に「まん延防止等重点措置」 緊急事態宣言も視野

 
会見で発言する玉城デニー知事=7日、県庁

 政府は7日、新型コロナウイルスの感染が拡大している沖縄県と山口県、広島県に「まん延防止等重点措置」を適用した。沖縄県では同日、過去最多を2日連続で更新する1414人の新規感染を発表し、玉城デニー知事は、さらに状況が悪化した場合には緊急事態宣言も視野に入れるとした。

 今回、まん延防止等重点措置の期間は9日~31日。沖縄では県全域が対象となる。県では、同措置の適用を受けて飲食店に営業時間の短縮などを要請したほか、県民に対して不要不急の島をまたぐ往来の自粛を求めた。県外への往来は極力控えることや、テレワークや時差出勤の拡大なども要請した。

 飲食店のうち感染防止対策認証店には、午後8時まで酒類の提供を認めた上で、営業時間を午後9時までの短縮を求める。一方で、非認証店については酒類の提供は自粛し、午後8時までの営業とするよう要請する。時短営業を実施する店舗に支払う協力金は、認証店が売り上げに応じて1 日2 万500円~7万5000円、非認証店が同3万円~10万円とした。

 沖縄と同じく、まん延防止措置の対象となった広島県と山口県では、認証店に対しても酒類提供の自粛を求めたといい、会見では記者団から知事の認識を問う質問が相次いだ。玉城知事は、「経済関連団体会議と協議し、さまざまな意見をいただく中で総合的に判断した」と繰り返し強調した。

 県は、島をまたぐ移動について、やむを得ず訪れる必要がある場合は、事前にワクチン接種の完了かPCR検査等での陰性確認を求めている。また、会食は同居家族やいつも一緒にいる人と、4人以下2時間以内とし、店舗の感染対策に積極的に協力するよう要請した。

 このほか、人と人との接触機会を抑えるため、企業に在宅勤務や時差出勤の拡大など通勤・在勤時の人数削減および密集防止の取り組みを求めるほか、学校には地域の感染状況を踏まえて分散登校などの実施を求めた。部活動は、当面の間原則休止とした。

オミクロン株、ブレイクスルー感染6割

 沖縄で感染が急拡大しているのは、在沖米軍関係者などからオミクロン株が拡大したことや、年末年始に県民の間で行われた会食などが要因とみられている。また、ワクチン2回接種後に感染する「ブレイクスルー感染」も、かなりの事例が発生している可能性が高い。

 県は7日までに、県内で昨年12月1日~今年1月1日に確認されたオミクロン株の陽性者50人(10歳未満~80代)を調査したところ、ブレイクスルー感染が66.0%だったと発表している。また、県内での感染は、これまでのデルタ株からオミクロン株に流行が置き換わったとの認識も示した。

 また、同じくオミクロン株の感染者50人を調査した結果、無症状は2人のみで、48人は何らかの症状があったという。症状があった48人のうち、「発熱(37・5度以上)」が75.0%で最も多く、次いで「せき」が60.0%、「全身倦怠感」が52%などとなっている。

 玉城知事は、7日の会見で、「国の対処方針には、オミクロン株では重症化しにくい可能性についても記載された」と述べた。ただ、重症化リスクがある程度は低下したとしても、感染例が大幅に増えれば、重症者や中等症の患者が増えるおそれがあるという。

 同日、県内で入院中の感染者は187人にとどまる。県の糸数公医療技監は「オミクロン株は軽症者が多いほか、急激な感染者の増加で(調整に)時間がかかっている可能性もある」と述べた。宿泊施設療養中は482人、自宅療養中は960人、入院・療養等調整中は2020人に上っている。

 また、県によると濃厚接種者に該当するなどして欠勤している医療従事者も300人以上に達しているといい、今後は医療逼迫が急速に進む可能性もある。全国の中で先駆けてオミクロン株の感染が拡大した沖縄では、手探りの対応が続いている。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)


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