初恋クロマニヨン 「ネタは生命線」 沖縄賞レース覇者の緻密な戦略
- 2021/9/25
- エンタメ・スポーツ
漫才とコントの合計点で優勝者を決める、沖縄のお笑い総合王者決定戦「エッカ石油お笑いバイアスロン2021」(主催・琉球朝日放送)で2度目の優勝を果たし、9代目王者に輝いたトリオ「初恋クロマニヨン」。過去にはお笑いを「本気でやめることを考えた」という大きな挫折があった。勝つための秘策と、細部に渡るネタへのこだわりに迫る。
「『面白い!』とだけ言われたい」
2019年に初優勝し、2連覇に挑んだ前年は同点決戦でルールに泣き2位に終わっていた。今大会では「圧倒的なパフォーマンスで『面白い!』とだけ言われたい」(比嘉憲吾)と王座奪還に向けて息巻いていた。
1本目のコントは「会話のテリトリー」。地元の面倒な先輩が居酒屋で店全体を巻き込んでいく様を、先輩の田舎コンプレックスを突きながらいなしていくストーリーだ。
2本目の漫才は「実家の犬の名前」。実家の犬の名前を決める単純なことに対し、ビジネス的な上下関係を織り交ぜて話を展開させていく。立ち位置を入れ替えながら、3人で掛け合うテンポの良さも際立った。
コントを全体2位で折り返し、漫才でも順調に加点した。1位から3位がわずか4点差に収まるほどの接戦をものにした。松田正は「上位2組には入れるとは思っていたんですけど、2年前に優勝した時ほどの確信はありませんでした」と振り返る。
優勝のカギは2本目の「漫才」に
3人にはただ‘演る’だけではない、緻密な戦略があった。
「それぞれの強みを持った今年の決勝メンバーを見て、どうしたら勝てるかを突き詰めました。出した結論は‘コントで手堅く点数を取って、漫才で逃げ切る’。これをいかに具現化するか、ずっとシミュレーションしていましたね」(松田)
「審査員の目線で考えると、これまでの印象を上回らないといけない、という気持ちはありました」(新本)
同大会では、1本目であるコントの順位が低い順に、2本目の漫才を披露する。
「コントで高得点を取ると自ずと漫才の出番順は後半になります。立ち話芸である漫才が何本も続くと、お客さんもダレて来るだろうと。とにかく『目が覚めるような漫才をして印象を残す』ことを意識しました」(松田)
漫才では、戦略的に立ち位置を入れ替えるネタを披露した。