「甲子園はまだ夢の続き」 あの夏、僕らは… 知念高校野球部
- 2021/8/3
- エンタメ・スポーツ
行きたいではなく行くんだという気持ちが大切
3年生にとって最後の夏、全員がひとつになった。甲子園まであと一歩だった知念高校の快進撃。これに胸を躍らせたのが、昭和57年のメンバーである。39年前、決勝戦で興南高校と対戦、2点先制するも中盤に逆転され甲子園出場を逃した、あの時のメンバーだ。
当時、主将だった安谷屋靖さん(56)は「前年にベスト4で負けたので、今度こそ興南に勝って甲子園に行こうと言う気持ちで戦った。チャンスに打てなかった自分の責任もある」と、当時を振り返って未だに悔しさを隠せない。
しかしエースだった山内和実さん(56)は「3連投で身体はいっぱいいっぱい。悔しさより終わった、という安堵感だった」と振り返る。そして「平均身長167センチくらいのちびっこ軍団だった僕らが全国にいったら恥ずかしい。興南なら県民が納得すると思っていた」と続けた。
一方、優勝した興南高校のエースは、その後、阪神タイガースで活躍した仲田幸司さん(57)だった。
当時のことを聴いてみると、こう振り返る。
「準決勝の沖縄水産戦が事実上の決勝戦といわれていたので、そこで勝って気持ちは既に甲子園だった。ちょっと余裕こいていたね。僕も連投だったので、痛み止めの座薬を入れていた。5回終わって円陣組んで『マイク(仲田さんの愛称)がここまで頑張っているからおまえら何とかせい!』と監督に気合い入れられて、それで逆転したんだよね」。
さらに、「知念高校は、ずば抜けた選手がいるわけではなく、走攻守バランスのとれたいいチームだった。なんだかね、楽しそうだったんだよね、僕らは甲子園に行くことが使命みたいだったから。ちょっとうらやましくもあった」と懐かしんだ。
「まだ夢の続き」
主将だった安谷屋さんは甲子園のことをそう言う。そして、「甲子園に行きたいではなく行くんだという強い気持ちが大切なんだ」と後輩達へ言葉を贈った。