初の五輪競技となった空手 喜友名涼選手の活躍に期待

 

 特に沖縄県出身で活躍したのが佐久本嗣男氏(73歳)です。劉衛流という沖縄でも珍しい流派の会派に所属しています。劉衛流は仲井間憲里(1819-1879)が中国(清朝)に渡り王室護衛武官養成所の劉龍公に師事して沖縄に伝えた流派です。佐久川氏は、劉衛流道統5世、劉衛流9段範士、劉衛流龍鳳会長の他、沖縄県立芸術大学の学長も務めました。空手の形部門の世界的な選手として世界大会3連覇など多くの大会で優勝しており、世界的に活躍した人物です。

劉衛流龍鳳会・佐久本嗣男会長

 また、佐久本氏は指導者として9人の世界チャンピオンを輩出した名伯楽でもあり、その直弟子のひとりが、今回の東京オリンピックの空手で男子形競技において金メダル最有力とされる喜友名涼選手(30歳)です。沖縄では知らない人はいないほどの有名な空手選手ですね。

 1990年、沖縄県那覇市出身。身長170cm、体重82kgと空手家として鍛え抜かれた身体をもって力強さとスピードある形の演武、そして圧倒的な眼力が特徴です。5歳から空手を始めて、中学時代から劉衛流龍鳳会の佐久本嗣男師に師事しました。空手大会では、世界大会3連覇、アジア選手権4連覇、全日本大会9連覇。空手プレミアリーグでは19回優勝を果たしてギネスブックにも認定されています。

 空手の稽古は毎日欠かさず、沖縄伝統の琉球舞踊からも目線や腰使いを学んだりもしました。得意形は劉衛流の上級形アーナン(阿南)。この形は貫手、甲受け、甲打ち、鋭角蹴りなどの技も得意で、実戦的でかつ華やかで見栄えある形です。

インタビューに応える喜友名涼選手

 今回の東京オリンピックはコロナ禍の閉塞感にあるなかで、私たちに希望を与えてくれる巨大イベントです。空手競技は8月5日~7日に行われ、喜友名選手が出場する男子の形は8月6日です。喜友名選手が金メダルをとり、出身地の沖縄で県民のみなさんが歓喜にあふれ、そして空手の素晴らしさを共有することを願うばかりです。

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