0歳の娘を育てながら大学院に通う玉城円さん 妊娠中に受験

 

 「志望動機や研究の目的など研究計画書を書くのが想像以上に大変で、恩師や周りの人の協力をもらいながら出産2週間前に書き上げました。妊娠中のホルモンの影響があるのか最後は泣きながら書いていました」

 そして、今年7月末に第1子長女を緊急帝王切開で出産した。産後のお腹の傷が痛む中、3時間おきには授乳し、産後2ヶ月後に迫るオンライン面接に向けて対策した。慌ただしい子育てで思うようにいかないこともあり、円さんは面接直前まで大学院へ進んでもいいのか悩んだという。

 「家族に迷惑をかけてしまうからです。生まれたばかりの娘にはごめんね、と思う気持ちがあります。こんなかわいい時期に大学院に行くなんてと賛否両論あるのはたしかで、母親失格なのかなと色々思うことはあるのですが、夫をはじめ家族からの応援はありましたし、大学院の指導教授から頂いた言葉や実際に大学院生のママがいるという事で進学を決意するひとつになりました」と葛藤を乗り越えた。

家族のサポートで家事育児、仕事との両立

 大学から合格通知が届いたのは、産後2ヶ月半頃だった。夫は「おめでとうよかったね!」と喜び、家族や周りからも応援の言葉をもらった。

 「大学院のオンライン授業の朗報は本当に幸運でした。こんなに早く進めるとは思っていなかったので、娘からのプレゼントかもしれないですね」と微笑み「大学院で学んだことを生かして地域や教育の現場などで双方向の学び場を作り、沖縄に貢献したい」と、今後の抱負を語る。

 娘は、円さんが大学院入学の4月から保育園に入園。「泣かずにスムーズにスタートがきれました。友達や先生方と仲良く遊んでいて、逆にお母さんとしては寂しかった」と笑って話す。

娘に絵本の読み聞かせをする円さん(本人提供)

 研究を支え、娘の寝かしつけと保育園送迎のほとんどを担う夫や、時には保育園に通う娘を迎え、夜ご飯まで食べさせてくれる両親・義理の両親らの存在、職場の理解と協力に「とても助かっている。支えてくれる人たちがいるからこそ院にも通えている。いつか私自身が同じような立場の人たちをサポートしたい」と感謝を伝えた。

Print Friendly, PDF & Email
次ページ:
1 2

3


関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ