“離れ島・那覇”の面影が残る場所「若狭」と「辻」
- 2021/7/15
- 社会
辻町が舞台となったハリウッド映画
若狭の隣に位置する「辻」。驚くことにハリウッド映画の舞台となったことがある。タイトルは 『The Teahouse of the August Moon”』で、邦題は『八月十五夜の茶屋』。
名優マーロン・ブランド、そして日本が誇る大女優京マチ子が主演を務めている。ゴールデングローブ賞にノミネートされ、ブロードウェイでは1000回以上の公演を記録した大ヒット作である。そのストーリーの舞台となったのが、辻町にあった「料亭松乃下」と沖縄市の桃原だった。
原作者ヴァーン・スナイダーは、沖縄戦の終戦後、沖縄市に半年ほど滞在し、辻町のジュリ(娼妓)であった上原栄子と出会う。戦争によって跡形も無くなった辻を再生させていく彼女の力強い生き方に感銘を受けて書いた作品という。
琉球一の遊郭の変遷
辻町は、離れ島だった那覇にあることで世俗とは切り離され、琉球王朝時代最も格式の高い遊郭であった。廃藩置県後に琉球が沖縄県となると、辻には経済界の重鎮や政治家などが訪れるようになり、県内きっての社交街となっていく。
しかし戦争で全て焼き払われ、戦後上原栄子らの尽力によって奇跡の再起を果たす。アメリカ統治下時代は、沖縄の伝統芸能を見て楽しめる歓楽街として軍人たちにも広く親しまれた。料亭松乃下は建物の老朽化による建て替えを行ったものの、現在料亭は閉店して老人ホームが入居している。
ただ、建物には料亭の面影が十分残っているので、当時の雰囲気を味わうことができる。
近年復活したジュリ馬祭りの会場となるのも元料亭松乃下前であり、そこには古代からジュリたちの信仰する御嶽が祀られ、現在も大事に管理されている。