緊急事態宣言再延長 蚊帳の外での決定劇 沖縄県民どう乗り越える?

 

宣言発令決定 沖縄は蚊帳の外

 7日19時台にこの宣言発令について報道が飛び交う中、関係閣僚と官邸で1時間程度の会議を行っていた菅義偉総理は、会議終了後に会見で、宣言や重点措置の取扱いについて「明日専門家の会議に諮る」「万全の体制をとって感染を抑える」とだけ述べて何も具体的なことは表明しませんでした。

 一方、同じく7日夜。小池都知事は、この宣言発令報道に関し「必要な段階なのかなと思う」と述べ、慌てた様子もなく会見に応じていました。実は、この小池知事、緊急事態宣言発令を受けた会見のまさに数時間前の17時ごろ、政府の専門家会議(新型コロナウイルス感染症対策分科会)の尾身会長と都庁で会談していたのです。さらに会見では「西村大臣とも先ほど話した」と述べており、まるで宣言発令の決定はある程度すり合わせられていたかのような、スムーズな対応を印象付けました。国と東京都が宣言発令に向けて行動を密にしていた点とは対照的に、玉城知事はこの宣言発令の決定において、まさに蚊帳の外であったと言わざるを得ない状況にあったのです。

 7日夜の宣言発令の一斉報道では、オリンピックを無観客開催とすることも合わせて報じられていました。無観客とするか否かは、主催者であるIOC(国際オリンピック委員会)・IPC(国際パラリンピック委員会)、大会運営する大会組織委員会、そして政府、東京都の5者による7月8日夜の協議の場で決定することとなっていましたが、緊急事態宣言発令という政府決定の案件とともに報道されたのです。

 緊急事態宣言の扱い。そしてオリンピック・パラリンピックの観客の扱い。水面下では、ギリギリまで凄まじい交渉が繰り広げられていたに違いありません。そしてひとたび方針が決定されれば、そこに地方の意志が付け入る隙は、もはやほとんどないのかもしれません。

総理官邸(写真ACより)

「県の要請が反故にされてもいいのか」という批判は違う

 緊急事態宣言は、新型インフルエンザ等対策特別措置法、通称「特措法」第32条に基づき政府対策本部長としての総理が発令するものです。宣言が発令されると、第45条に基づき都道府県対策本部長としての県知事が外出自粛や飲食店への休業・時短営業などを要請・命令をしたり、従わない場合は第72条に従い罰金を科したりすることができます。

 さらに、宣言が発令された場合の国と県の権限関係として、国を中心に連携して感染症のまん延防止に対処する考え方が貫かれていて、国と県が時間をかけて議論するような状況は想定していないのです。

 宣言の再延長を受けての8日夜の会見で玉城知事は、政府から事前の説明が何らなかったことについて、「これまでも政府の発表に応じて県は対応してきたので、特に不都合や対立などはない」と明言し、空港におけるPCR検査の無料化などが実現される見通しであることを評価するという考えを示しました。

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