アルコール提供停止の煽りを受ける酒屋の窮状「もうこれ以上は…」
- 2021/7/8
- 新型コロナ・医療
沖縄県民全員のため息が聞こえた気がした。新型コロナウイルス感染拡大のため、今月11日までを期限としていた緊急事態宣言を1ヶ月以上延長する方針を政府が固めたからだ。那覇市内で飲食店向けに酒類を卸す酒販店の男性経営者は「出来る我慢と出来ない我慢がある。もうとっくに出来ない状態」と呟く。その口調には怒りを通り越して、諦めすらにじんでいる。
長期の緊急事態宣言に加えて、5月からの酒類提供停止措置のあおりを直に受けていながら、十分な救済メニューが組まれていない酒販店。経営者に厳しい現状を聞いた。
―緊急事態宣言がまた延長される方向で調整が進んでいます。
もう既に我慢出来ない状態になっていいるところにこの話がきて、呆れて何も言えない。5月の酒類提供停止になった時点で状況はガラっと変わった。まん延防止措置になると思ってたが、さらに緊急事態宣言の延長となると話が違ってくる。もう少し経済のことを考えられないのかと。国も県も、現場が大変なことになってるのが分かっていないんじゃないか。本当にこれ以上は…という感じ。
アルコールの提供が仮に緩和されたとしても、時短で午後8時までなら全然意味がない。せめて午後10時にすべきだ。定時に終わる公務員とかは別として、午後8時までしか酒が出ない店にいける人の数はかなり限られてくる。そうすると結局、こんな締め付けしてもみんな守らなくなる。現に守らずに開けてる店ももうあるし、そこに集まって密になるという状況はもう出てきているでしょう。
そもそも、ここ1年で午後8時にしても感染者増えてる現実があるんだから。それよりは、それぞれの店で感染対策をきっちりさせるところまで行政でやって、午後9時ラストオーダーにして色んな店を稼働させた上で、人を散らした方がまだいい。その方が経済の面でも感染対策の面でも現実的な対応だと思う。
―酒類の提供自粛要請の期間が続いています。現状はどうですか?
ここ3ヶ月は例年からすると9割以上の売り上げ減。去年3月の最初の頃も大変だったけど、今が1番最悪かもしれない。県内のある程度の規模の同業者であれば、ざっと見積もってもこの1年で数億円単位で売り上げが減ってると思うよ。そろそろ潰れるような店も出てくるかもしれないし、首くくらないといけない人も出てくるんじゃないかと心配している。
うちはほぼ100%飲食店向けに卸していたので、もちろん在庫ははけない。微かだけど徐々に在庫を減らしながら、できるだけ古い日付の(生ビール)樽を抱えないように過剰在庫を持たないようにはしてきた。最近完全にストップしたせいで、それでも3月頃の在庫が出てきてしまっている。不幸中の幸いとうか、メーカー側が樽の返品受付をしているので、飲食店に眠ってしまっているものはそれで対応している。
今は基本的に借り入れしてやりくりしている状態で、1年間の無利子・支払い据え置きといった措置があってかろうじて助かっているけど、もう1年が過ぎている。それでかなり厳しい店ももう出てきているだろうし、これからどんどん出てくると思う。