沖縄黒糖なぜ8離島だけで生産? 官民で目指す在庫一掃販路拡大
- 2021/6/10
- 経済
8島でしか生産されない“限定の味”
現在、県内各島に合計で17の製糖工場がある。そのうち、大規模な9工場は、糖蜜を含まないグラニュー糖や上白糖などの「分蜜糖」を生産し、小規模8工場は、糖蜜を含む黒糖などの「含蜜糖」を生産している。
沖縄黒糖は多良間、波照間、西表、与那国、小浜、伊江、伊平屋、粟国の8島でのみ、一定の規模をもって生産されている。サトウキビはそのほとんどが上白糖などに加工されるため、黒糖になるのはわずか5~6%程度と希少な存在だ。多くの場合は、お菓子やパンなどの原材料として使われる。
黒糖新商品に向け商談会も
同事業の一環で、昨年11月には沖縄黒糖に限定した全国初となる商談会を開催した。製糖事業者4社と県黒砂糖協同組合が連携して、これまで黒糖を取り扱ったことのない飲食料品メーカーや化粧品メーカーなどとマッチングを図り、ニーズに合わせて県が商品開発補助をするというものだ。
これらの取り組みなどを通して、昨年度は県外の製パン業者や県内の飲料メーカーなどが沖縄黒糖の使用について新しく関心を示しているといい、今年度以降の正式な取引決定に向けて動きを進める。
製糖工場の取引先は商社や問屋が主だ。独自の流通網を持たない製糖工場はこれまで、製造者としての役割に徹していた。離島では流通上の問題からコンテナ単位で出荷しなければならず、最小ロットがあまりにも大量であるため、製糖工場が直接メーカーなどに卸すことは難しいという事情もある。
そのため、生産された島ごとに甘味や苦味、舌触りなどに個性が表れる黒糖なのにも関わらず、自分たちで菓子メーカーなどに商品の魅力を直接伝えたり営業をしたりする機会に恵まれず、販路が固定化してしまっていた。
同事業を受託するブルームーンパートナーズ株式会社(那覇市)の仲座健二さんは「営業交渉などの強みは商社や問屋にありますが、製糖工場が自社商品の良さや特徴を一緒になってアピールしていけると、さらなる販路開拓が期待できると思います」と話す。