SNSで性器画像 県内女生徒も「普通に送られてくる」チェコの話題作から考える
- 2021/5/25
- 社会
個別の事案だけでなく、全体も見ていきましょう。
例えば沖縄県のサイバー犯罪の内訳を見ると、全135件中74件が「青少年保護育成条例違反」「児童買春・児童ポルノ法違反」で占められます。
検挙されたサイバー犯罪の半数以上が「子どもが被害に遭う」タイプの罪種になっています。(ちなみに、サイバー犯罪は他の犯罪と比べて被害者が被害を届けない「泣き寝入り」も多いため、単純な数だけをもって論じるのは難しい点もあります)
作品が描いていないこと
話を作品に戻します。映画冒頭1時間では「オオカミ」たちとのひどいやりとりが続きます。すぐに「洋服を脱いで」「俺の性器を見ろ」と要求し、会話が成立しない、いわゆる「ネットのヤバいやつ」オンパレードです。
しかし実際の性加害者の中には、言葉たくみに子供たちに取り入り、一度信用させてから行為に及ぶものもいます。
こうした行為を「チャイルドグルーミング」、あるいは単に「グルーミング」と呼びます。
グルーミングとは動物の毛づくろいの意味で、信頼関係を構築するコミュニケーションのことです。性的な行為を目的に「相談にのろうか」といい人を演じ、子供たちから秘密を聞き出す。そして秘密の暴露をチラつかせ、裸の写真などを要求するのです。
作中では「チャイルドグルーミング」のような計画性のある、少し見破るのが難しい加害者の存在が描かれていません。
また、近年子供たちに人気のオンラインゲームでも、こうした行為は行われています。プレイ中に喋って交流できるボイスチャット機能などを使い、信頼関係を築いて取り入る手法です。
SNSは当然のことながら、子供たちがカジュアルにプレイしているゲームでさえも油断できないため、現実は映画作品よりも厳しい状況ともいえます。
描いていない部分はあるものの、この作品は見たあとにそれぞれの立場から思考を巡らせ、また見た人どうしで感想・意見を述べあうことのできる意義のあるものだと思います。
前述したよう、間違いなく見る人を「選ぶ」側面はありますが、これをキッカケに子供たちが置かれている状況を考える人が増えることを願います。