新設備年内稼働で遺族の負担軽減へ 富士葬祭 平田保信代表

 

 暖かみがあり家族がゆっくりと時間を過ごすことができる浦添ホール。ホテルのようなエントランスに、リビングやキッチンスペースを備えた古島ホールなどだ。

 近年は、お通夜の省略や葬儀費用を圧縮するなど簡素化が顕著になっている。「沖縄は離婚率が高いため独居老人の死も多く、家族も戸惑うケースがある」と実情を明かした。さらに、コロナ禍で葬儀自体を行わない事例にも触れ、業界での生き残り戦略へも考えを巡らせている。

 平田代表によると、創業当初は1葬儀の予算が140万円〜150万円だったのに対し、現在は70万円〜80万円と約半分に単価が下がっている。「葬儀の簡素化などドライな世の中になっていくのは寂しい」としつつも、「価格が下がってもサービスが下がっていいわけではない」と口酸っぱく従業員へ説いている。

 「亡くなった人も、“自分は世の中の役に立った”と思って旅立っていきたいはず。尊厳を持って生まれてきたのです。満足な死ばかりではなく、無念の最期もあるが、最後は人間らしく送ってあげたい」。創業当初の理念を大切にしている。

古島ホールリビング安置室

業界で生き残るには、IT・人・施設への投資

 約3年前からWEB戦略を強化している。チラシのポスティングやテレビの費用対効果と比較しWEB広告へシフトした。「内製化がベスト。知識と技術を持った人員を採用し内部の意識を高めている」とし、経営会議ではSNS活用も推進することを決めた。「売上がある内に人・施設・ITに投資しないといけない」と自身もフェイスブック上の発信を続けている。

 インターネットに強い大手企業の参入や低価格化など業界は厳しさを増している。潜在顧客を増やすにはー。「我々の人となりが伝わり信頼と信用を得られる人になれるか」。人間力を磨けるかが試されている。

 社長室に隣接した客間には平田代表が生けた花が飾られていた。「2ヶ月前から再開したんだけどやっぱりセンスがないから生花店を辞めて葬儀屋になって良かった。人生はどうなるか分からない」。そう言って、嬉しそうに写真に納まった。

 初心に、返っていたのかもしれない。


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