消えた石橋と、今に残る巨大岩山を探る 〜浦添・牧港交差点の今昔

 

石橋の名残はどこに

 現場には、当時石橋が掛かっていたことを示す史跡案内や遺構などは見当たらない。しかし唯一手がかりとなりそうなのが、アウトドアショップネオス前の道だ。実際に通ってみると妙な交差点だということに気付くだろう。

ネオス前から大通りへ出る際に戸惑った方も多いのでは?

 店舗前から県道153号線へ出るには左折しか出来ない。さらに左折するとすぐ目の前が牧港交差点になるので、北向けに曲がる一番奥の車線に乗るには、三車線を一気に横切らなければねばならない。 

一体なぜこういう交差点になったのか。

 答えはこうだ。戦前まではネオス前の道の延長線上に川を渡るための石橋・牧港橋が架かっていた。そして、この通りは人々にとっての重要な生活道だったのだ。

星マークが現在のネオス。そこから川を渡る石橋がはっきり見える(国土地理院写真より)

ハイネの絵に描かれた巨大な山とは?

 上記で紹介したハイネの絵の中にはもう一つ興味深い光景が描かれている。絵の中心に鎮座する、とても沖縄のものとは思えない巨大な岩山だ。さすがにこれは脚色したイメージだろう、仮に当時存在していたとしても今は消え去っているだろう、と思ってしまうかもしれない。
 しかしこの岩山、現在も残っているのだ。絵中の橋の位置から、方角的になんとなく想像付くかもしれないが、現在、介護付有料老人ホーム「ポートヒロック」がそびえ立つ、あの岩山だ。

 元々は、絵の中にも見えるようノロ墓が点在する大事な場所であり、山頂から船の見送りなどを行う場所でもあった。今では道路整備や拡張工事に伴う安全性確保のため大幅に岩が削られてしまい、当時の重要な遺物も収集保管されていっているようだ。

 現代では立体交差点が大きくその景色を遮ってしまい、ハイネの絵と現場を対比させるのが難しいが、いざ岩の真下に立ってみると琉球の風を感じられる気がするのである。

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