航海民族を繋ぐ音楽プロジェクト  映画『大海原のソングライン』

 

伝統音楽と現代アレンジの融合

 トークイベントでは、作中にある一曲一曲のアンサンブルを作り出すプロセスが明かされた。まずは各島々をバックボーンとするアーティストを探し出し、そしてその中でも伝統的な楽器を用いて音楽を作り続けるアーティストへアプローチして、民謡や伝統的な歌の基調を演奏・歌唱してもらう。

 それから次の島へ行くときに、前の島のアーティストの曲を聞きながら、自分が好きな楽器や歌や民謡などをその場で加えていく。こうした一連の行為を重ねるうちに、なんと18曲もできあがっていた。時には先祖代々から伝承された子守唄、時には戦歌が並んでおり、単なる伝統音楽というよりは現代的な概念による編曲・アンサンブルになっている。

「アーティストの意思は尊重されているのか」という観客からの質問も出たが、参加した世界各地のアーティスト達はこの企画でほかの島々の兄弟姉妹と知り合い、一緒に音楽の創造活動をするという経験を通して、たくさんのインスピレーションを得られたという。このプロジェクトの一環である世界ツアーを通して親友になったメンバーもいた。

3月5日まで音市場で上映

 この作品は昨年8月より日本での劇場一般公開を行い、今年の1月よりようやく沖縄公開を迎えた。桜坂劇場は終映して、2/1から3/5までは沖縄市のミュージックタウン音市場にて上映される。ワールドミュージックのライブ映像を見るような軽い心持ちでご覧頂ければと思う。

【関連記事】沖縄発の映画配給会社 アジア各都市巻き込み“文化の中継貿易”

『大海原のソングライン』Webサイト

ミュージックタウン音市場:Music Town Cinema Webサイト

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黄(コウ) インイク

投稿者記事一覧

沖縄在住、台湾出身の映画監督・プロデューサー。東京造形大学大学院映画専攻修了後、台湾と沖縄を拠点とする映画製作・配給会社「ムープロ」(台湾と日本でそれぞれ「木林電影」「株式会社ムーリンプロダクション」)を設立、映画活動を行う。長編ドキュメンタリー作品『海の彼方』(2016年)、『緑の牢獄』(2021年)。石垣島ゆがふ国際映画祭プログラムディレクターを務める。

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