始まりは1本のビデオテープ、オハイオ州に鳴り響く諸見里エイサー

 

 これまで諸見里青年会のエイサーを動画で見ながら練習してきたオハイオ諸見里エイサーグループにとって、念願の直接指導を受けることができた。今までエイサーが難しく「無理だ」と言っていた2世、3世の若い会員は、諸見里青年会のダイナミックな動きや音、迫力、技術の高さに魅了され、「こんなチャンスはない」と仕事の有給をとってまで、必死で練習に参加した。

諸見里青年会から指導を受ける(写真:世界のウチナーネットワークfacebookページ)

来年、沖縄で再び共演を夢見る

 そして、2018年10月27日、「世界のウチナーンチュの日」を祝うイベントを開催し、夢にまで見た初共演を果たしたのだ。約300人の来場者を前に、諸見里青年会のメンバーと一緒に、3曲続けてエイサーを披露し、キレのある力強い演技で会場を沸かせた。

諸見里青年会と夢の共演、イベントにて(写真:世界のウチナーネットワークfacebookページ)

諸見里青年会の青年3名(中央、両端)と沖縄県系2世のメンバー(写真:オハイオ州沖縄友の会)

 照屋さんは「そこにビデオテープがあったからという簡単な理由で始めた諸見里エイサー。音や勢いが70代では絶対出せないものを若い青年たちが持ってきてくれた。今では音を聞いたら違いがわかるくらい聴き惚れている。半泣きで頼み込んできたおばぁあちゃんも涙を流して喜んでいた」と歓喜の声を上げた。

 時代の変化と共に、YouTubeやSNSでネットワークが広がり、諸見里青年会を動画で見ることができる時代。照屋さんは「20年前の発足時からのゆるい動きが、一気に加速した」と話す。

 また、IT(情報技術)の進歩によって、スマートフォンで沖縄民謡が世界中、いつでもどこでも聞くことができる。イヤホンを耳に当て、「スリサーサースリ」と口ずさみながら、イベント会場の準備や片付けをするウチナーンチュもいるなど、オハイオ州と沖縄の心理的距離感も近くなっている様子だ。

 現在、オハイオ州沖縄友の会では、諸見里青年会と「第7回世界のウチナーンチュ大会(2021年)での再会、共演を目標にエイサーの練習に励んでいる。

Print Friendly, PDF & Email
次ページ:
1 2

3


関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ