始まりは1本のビデオテープ、オハイオ州に鳴り響く諸見里エイサー

 

本家の諸見里青年会と交流生まれる

 照屋さんは、オハイオ州沖縄友の会の芸能部長の里子さんに相談。「諸見里エイサーの練習ビデオを作ろう」と考え、沖縄まで諸見里青年会に会いに行って、本家の踊りを撮影しようと計画した。

 直接、諸見里青年会と繋がっているわけでもなく、「連絡方法も誰に連絡したらいいかもわからなかった」という照屋さんは、沖縄市のエイサー会館に手紙を出してみた。その後、諸見里青年会の当時の会長・砂川広平さん(24歳)からメールの返信が届き、撮影の相談と会う約束を交わすことができた。

 こうして、はじめて諸見里青年会とのつながりが生まれた照屋さんと里子さんらは、沖縄にルーツをもつ海外在住の県出身者や沖縄県系人を招待して開催される5年に1度のイベント「第6回世界のウチナーンチュ大会(2016年)」に合わせて沖縄を訪れた際、ビデオカメラを持って諸見里公民館まで会いに行った。青年らが集まっている中、砂川会長へ経緯を伝えて撮影の許可を相談すると、「(もともと)練習用DVDがある」と教えてくれ、そのDVDを手に入れることができた。
 照屋さんは「2世のメンバーに(YouTube上の)実際のパフォーマンス動画をいくつ送っても感覚が伝わらず四苦八苦していたので、練習用のDVDがあると聞いてうれしかった。広いオハイオ州に点在するメンバーにコピーを渡せば、自己練習ができるので、全体練習で集まる時に、時間や労力が少なくて済む」と大喜びした。

諸見里自治会で初顔合わせ(写真提供=オハイオ州沖縄友の会)
DVDを受け取る芸能部長の里子さん(写真提供=同)

諸見里青年会から念願の直接指導

 諸見里青年会と交流が始まった2年後、オハイオ州沖縄友の会に沖縄県から事業の案内が届いた。10月30日が「世界のウチナーンチュの日」として2016年に制定されたことで、沖縄県では記念日関連イベントを行う海外の県人会に、沖縄の文化や芸能の指導者を派遣して、その活動を支援する「沖縄文化芸能指導者派遣事業」を実施していた。

 オハイオ州沖縄友の会は、この事業を活用し、諸見里青年会から地謡、パーランクー、締太鼓、大太鼓の演舞ができる人として、会長・花城悠さん(26歳)、前会長・砂川広平さん(26歳)、伊禮廉太さん(21歳)の3人を指導者としてオハイオ州へ招いた。

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