コロナ禍でも下地島空港が強気の理由 アフターコロナを見据えた動きはもう始まっている

 

國場組「空港ビジネスのノウハウ蓄積は必要」

 伴野社長の出身母体である三菱地所は、下地島空港の経営に続いて、2023年に宮古島のトゥリバー地区でヒルトンホテルを開業させる。地上8階建てで客室数は329室だ。プールやスパなどを備える大規模なもので、敷地面積は5万4769平方メートル、延べ床面積は2万7983平方メートルだ。開発には鹿島建設だけでなく、那覇市の國場組も参加する。

 同社の内間耕専務は、「宮古島にリゾートホテルが次々に開業しているが、ヒルトンホテルのクラスがない。23年の開業で、宮古島の観光の質が変わる」と話す。

 國場組にとって、下地島の事業に参加するメリットは工事の受注だけではない。下地島空港の運営会社には國場組も出資し、空港ビジネスの当事者にもなっている。「全国で空港の民営化が進んでいる。那覇空港も将来、コンセッション(運営権売却)があるかもしれない。空港ビジネスのノウハウ蓄積は長期的視点で必要なこと」(内間専務)というわけだ。

 技術的面でも大きなメリットがあった。下地島空港では、ターミナル施設の屋根に採用しているCLT (直交集成板=繊維方向が直交している木質の構造材用料)の1棟あたりの使用量が、国内最大となるとして、全国的な注目を集めた。

 予算面からCLTの採用は4棟から2棟に絞られるなど曲折はあったものの、「今後、國場組はCLT工法にも対応できることになる。沖縄の建設業界にとっても未知のものを経験できたことは大きい」とターミナルビルの工事を担当した同社建設企画部の喜屋武元樹副主幹は言う。下地島空港の事業には、こうした息の長い波及効果もある。

 さらに夢のある構想も進む。名古屋のPDエアロスペースによる「下地島宇宙事業」だ。下地島の3000メートルの滑走路で航空機とロケットを組み合わせた有翼型宇宙住還機(スペースプレーン)を飛ばし、有人宇宙旅行を実現させようとするものだ。空港を実験開発拠点とするだけでなく、格納庫や管理棟を設置し、テナント事業や訓練事業、宇宙をテーマとした観光事業にも取り組むという。

 25年には年間100人、30年には1000人の宇宙旅行者数の実現を目指す。本当に実現すれば、宇宙旅行に出発する富裕層がプライベートジェットで島に降り立ち、島のリゾートホテルに滞在することになる。空港ビジネスとの相乗効果は計り知れない。

 コロナはいつか、必ず収束する。そのとき、下地島を含む宮古島でどのような体験型観光を提案できるのか、どのような質でサービスを提供できるのか、課題は山積している。観光客減少に失望ばかりしてはいられない。

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