アイルランドで琉舞伝える 浦添出身嘉数さん 沖縄との意外な共通点

 

沖縄と共通点の多いアイルランドへ

 現在、奈々さんは、東京で出会ったシンガー・ソングライターのLisa Okiさんと一緒に活動の幅を海外へ広げ、アイルランドで活動している。多くの若者が北米やオーストラリアを留学先として選ぶ中、奈々さんらはなぜアイルランドを選んだのか。
 「アメリカと南米は沖縄県系人が多くて、カナダやオーストラリアは日本人の留学生が多い。ヨーロッパで琉球舞踊の活動をしている人が少ない」といい、さらに、アイルランドと沖縄が似ていることも理由にあげた。

 実は、アイルランドと沖縄には共通点が多い。島国で、音楽が生活の中に溶け込んでいる文化の他、天気、お酒文化、大国との関係など似ている点が多くある。歌手の古謝美佐子さんがアイルランド民謡「ポメロイの山々」をカバーしたり、アイルランドの音楽グループと共演するなど、沖縄民謡とアイルランド民謡を合わせた音楽も少なからずある。そのこともあり、琉球舞踊や沖縄音楽を広めることとアイルランド民謡の習得も目的にいれた。

海外のダンスと融合、日々試行錯誤

 アイルランドで琉球舞踊への反応は、「まず沖縄の存在を知らない人がほとんど。アイリッシュ民謡の踊り以外の他国の伝統芸能や踊りへの関心は低い」という。
 「アイルランドは、沖縄から移民した人や沖縄から留学してきた人がたくさんいるわけではないので、誰かが行動して伝えないと(沖縄の文化は)何もない。沖縄の人が多く住んでいる国だと沖縄文化はあるけど、何もない環境にくると自分から発信しないと何もないままになる」と毎日が試行錯誤だと語る。

 さらに、ハワイアンフラやアイリッシュダンス、インドの民族舞踊など海外の伝統芸能と琉球舞踊を融合した踊りにも挑戦している。
 「海外に行くと、誰もが空手を知っているように、琉球舞踊もそのような存在になりたい。だからこそ、自分が発信できることを一生懸命したいし、踊りもこれからずっと磨いていきたい。自国の芸能ももちろん、海外の芸能、舞踊を知ることで、自分の踊り幅も増えると思う。創作に対しての表現力だったり、新しい発見がたくさんある」と語る。

コロナに負けず、琉球舞踊の魅力をSNSで発信

 現在、アイルランドでは、新型コロナ変異種の感染者が確認され、3回目のロックダウン(都市封鎖)措置が発令された。これにより、2020年は出演する予定のイベントや舞台、パブでの出演、アイルランド城での撮影もすべてキャンセル、ヨーロッパ内を移動しながらショーをする計画も無しになった。

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