アイルランドで琉舞伝える 浦添出身嘉数さん 沖縄との意外な共通点
- 2021/1/3
- 社会
アイルランド南部の第二の都市、人口約12万人のコークにワーキングホリデーを利用して滞在し、琉球舞踊家として活動しているのは浦添市出身の嘉数奈々さん(24)。4歳から琉球舞踊を習い始め、高校卒業後は東京で踊り子として働き、2019年に琉球古典芸能コンクール琉球舞踊部門の最高賞を受賞した。現在、「海外で琉球舞踊を伝えたい」と活動の幅を海外へ広げ、ハワイアンフラやアイリッシュダンス、インドの民族舞踊など海外の伝統踊りと琉球舞踊を融合した踊りにも挑戦している。アイルランドでの琉球舞踊への反応など、話を聞いた。
琉球舞踊に魅了され、20年
奈々さんは4歳から柳清本流紋園順乃会・上間順子氏の元に入門、琉球舞踊を習い始め、高校生で琉球古典芸能コンクール琉球舞踊部門の新人賞を受賞した。また、高校1年の時から、琉球舞踊家、沖縄芝居役者として活躍している平敷勇也さん主管の「創作舞踊集団 結華」に所属し、沖縄を代表する若い世代の舞踊家と共にプロとして舞台に立つ経験をしてきた。身体や所作で感情を表現し、表情豊かな演舞には多くの観客が心を惹きつけられる。
県の事業で海外を意識
奈々さんが海外で琉球舞踊を広めたいと思うようになったのは高校生の時。沖縄県が音楽分野、郷土芸能分野などで活躍している高校生を海外へ派遣し、グローバルな視野を持った世界で主体的に活躍できるリーダーを育成する、グローバルリーダー育成海外短期研修事業「沖縄県高校生芸術文化国際交流プログラム」に参加した時だった。選考を経て、琉球舞踊や歌三線、太鼓の芸能に取り組む同世代の高校生が集まった。
「舞踊の曲の訳を英語で書いたり、海外でどうしたら上手く伝わるかなどを考えた。踊りの振り付けを覚えたり、所作や声の出し方などを習って新しいことばかりだった。語学力の無さにも気づいたし、(海外に伝える経験をして)海外で琉球舞踊を伝えたいという思いが生まれた」と振り返る。
卒業後は東京へ上京。語学専門学校で英語を学びながら、東京では琉球料理みやらび池袋で、沖縄では那覇市辻の料亭那覇で琉球舞踊の踊り子として働き、東京を拠点にイベントやライブに出演。沖縄と行き来しながら「 結華」の舞台に出演したり、琉球古典芸能コンクール琉球舞踊部門の優秀賞、最高賞を受賞していくなど、さらに踊りに磨きをかけていった。
語学学校で行われた多言語劇では「美女と野獣」の曲を三線の譜面に書き換え、約3000人の前で披露したり、渋谷の街中を八重山地方で受け継がれるアンガマーに扮した八重山舞踊家の垣花克輝さん・石垣綾香さんと歩き回ったり、「振り返ると踊りが好きな自分がいる」と奈々さんは語る。