現場と役者橋渡しで県内エンタメ活性化 俳優/劇団座長・西平寿久
- 2020/12/17
- エンタメ・スポーツ
芸能の島、沖縄。音楽やダンス、伝統芸能のみならず、演劇分野でも少なくとも50の劇団が活動していると言われる。県内外のドラマや映画、CMなどで活躍し、11月28日に沖縄テレビで放送された「沖縄偉人ドラマシリーズ コチンダジャハナ~沖縄初の農学士 謝花昇~」でも主演の謝花昇役を務めた俳優の西平寿久さんは、いち役者としての活動に留まらず、県内の俳優を制作サイドとマッチングするサービスなどを通して、県内演劇界の底上げや沖縄の観劇文化の活性化に尽力している。課題や期待について聞く。
「それぞれがそれぞれの人生を生きてほしい」
「コチンダジャハナ」では、沖縄自由民権運動の父とも言われる謝花昇(1865-1908)が、民衆の立場に立って当時の県知事・奈良原繁と対立する様子などをシリアスに演じた西平さん。「謝花昇について、八重瀬町の歴史民俗資料館で2日間調べました。賢い人物像を意識して、頭の良い人がしそうなリアクションをしたり、口をぎゅっと締めたり」と現場を振り返る。
自由民権のために一線で闘った謝花と、沖縄の現状を対比させ「今は自由な世の中とされていますが、自殺者が多く、生きがいを感じられていない人も多いと言われています。エンターテイメントの人間としては『もっとそれぞれが自分の人生を生きてほしい』と思いますし、そうなるように(エンタメの)マーケットに対して闘っていかないといけないと考えています」
沖縄のエンタメ市場を盛り上げるサイト「演劇No.1」
「マーケットに対して闘う」の真意とは。西平さんは、19年前に演劇の世界に身を投じた。現在は映画などの作品に出演するだけでなく、劇団「リバース・ザ・ワールド」の座長として定期的に公演を行ったり、俳優スクールを立ち上げたりして、県内でも数少ない“エンタメ1本で身を立てている”人物でもある。「民衆のための劇団」をコンセプトとしており「自分がやりたいような作品ではなく、観る側に求められている作品を意識しています」と語る。