選挙と振り返る沖縄の2020年(後編)

 

竹富町長選挙〜町役場移転を控えて現職無投票当選(8/16告示)

 竹富町も2000年代、2010年代通して90%前後の投票率で激しい選挙戦が展開されてきましたが、今回は久しぶりに無投票となり、現職の西大舛高旬氏が2回目の当選を決めました。竹富町は全国でも珍しい自治体の外に役場が置かれている町で、現在は石垣市内に置かれています。長年の懸案である、西表島内に役場を移設する計画を2022年に予定しており、海上交通網を整備して移設をスムーズに進めることが今期の西大舛町政の最大の課題となっています。

西原町長選挙〜決め手に欠いた年内3度目の選挙(9/8告示 9/13投開票)

 西原町民にとっては県議選から数えて年内3回目の投票となったこの選挙、さすがに町民にも「選挙疲れ」が見られた上に、小橋川明氏崎原盛秀氏も前町長の元で副町長を経験しており、構図的にも「保守vs革新」あるいは「オール沖縄vs自公」のようなわかりやすい対立軸になっておらず、決め手に欠く選挙になったようで、投票率は戦後最低の48%に留まりました。結果的には崎原氏が小橋川氏よりも2500票ほど上回り当選を決めました。

金武町議選挙〜今年県内唯一の市町村議会選挙(11/24告示 11/29投開票)

 沖縄県の地方自治体の多くは2018年に議会議員選挙を終えましたが、金武町は1988年11月に並里区への養豚団地建設反対運動の一環で議会のリコールが成立、解散することになったため、現在に至るまで町議選のタイミングが他の県内自治体とずれています
 この選挙では、定数16に対して20人が立候補し、新人候補が3人当選しました。

北中城村長選挙〜アリーナ建設をめぐって革新分裂(12/1告示 12/6投開票)

 北中城村長選挙は4期16年勤めた現職の新垣邦男氏が、照屋寛徳衆議院議員の後継として次期衆院選に沖縄2区から立候補することを決めたため、新人2名による争いとなりました。新垣氏の後継に指名された、天久朝誠氏は28歳で北中城村議会議員選挙に当選してから3期連続で上位当選を果たしてきました。一方の元村職員の比嘉孝則氏は4年前の村長選挙に立候補して現職に約500票差まで肉薄しました。西原町長選挙と同じく、両者とも「オール沖縄」の立場でありながら、ライカム地区のアリーナ建設をめぐって意見が分かれ革新分裂の選挙になり、今回はアリーナ建設見直しを訴える比嘉氏が、天久氏に1000票以上の差をつけて大勝。新垣氏としては自身の選挙を前に後継候補を落選させてしまい、不安を残す結果となってしまいました。

 このように、小規模な選挙も含めてその動向を振り返ってみると、今後の大きな政治の流れが部分的に見えてきたのではないでしょうか。

 沖縄県では年内にまだ宜野座村長選挙(12/8告示 12/13投開票)が予定され、現職の當眞淳氏と村役場元職員の仲間貢氏が立候補を表明しており、投票が行われる見込みとなっています。また、来年には衆議院議員選挙や浦添市長選挙、那覇市議会議員選挙などが執り行われる予定で、すでに当該選挙の候補者選定が各政治勢力によって進められています。選挙期間中の立候補者の訴えだけでなく、どのような団体が応援しているのかや、過去の選挙の結果がどうだったのかに着目してみると、きっと政治の場で起こっていることへの理解に近づくことでしょう。

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