指導しない女子サッカー指導者の「居場所づくり」

 

指導しないコーチの思い

 この取り組みには、那覇市を中心に浦添市、宜野湾市などから共感したクラブチームのコーチも参加している。試合をする準備や片付け、集まった子どもたちがどのコートで試合をするか声掛けをするくらいで、試合が始まるとプレーに関しては一切口を挟まない。人数が足りない時には一緒にサッカーを楽しむ。子どもたちもよく顔を出す子たちを中心に自己紹介やどのポジションをやりたいかを話し合って、即席チームが生まれる。うまく決まるときもあるが、そうでない時もある。しかし主催した長堂監督は、それで良いと考えている。

「コミュニケーション能力を育てることが、子どもたちにはとても大事だと思います。遠征に行っても試合会場や練習場所に行くまで電車とかバスにどう乗ればいいのか、時間やお金はいくらくらいかかるのか。そういうことから自分たちで考えて行動する。その上でサッカーが好きだったり、上手くなりたいと思えるようになって欲しいなと」

 加えて、長堂監督は静岡や神奈川、広島などサッカーが盛んで強豪チームの多い地域を視察した時の感想を語った。
 「まずは1つのクラブにたくさんのサッカーが好きな子がいる。そこから上手い子をピックアップしてトップチームをつくる。そうでない子はそれでチームをつくる。それぞれのレベルで頑張ったり楽しんだりしている。トップの子たちしか見てないから”あのチームは強い”となるけど、そうではない。サッカーが好きな子たちを育てる、その子たちを応援したり一緒にサッカーを楽しむ親世代も増やす。上手い子たちをあちこちからかき集めてチームをつくることが強化とは思わない。普及があってこその強化なんです」

 うるま市や沖縄市など本島中部地域では小中高の女子サッカー指導者が縦の連携が図れている。県内高校女子サッカーでコザと美里の二強となっているもその表れだという。那覇市でも少年サッカーの指導者たちが連携して女子サッカーを続けたくてもできない中学生世代のフォローを行う準備を進めている。

※一般女子や小中学生女子だけでなくお父さん世代や小学生の男の子たちも参加可能。詳しくは坂下FCブログへ(https://blog.goo.ne.jp/makabi

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