なぜ沖縄は貧しいのか(2) 子どもの貧困概況 〜子どもたちの状況

 

 県の見解では、食事を一緒に食べる割合が少ないのは困窮層の保護者の忙しさに起因するところが大きいとし、こうした親との関係構築の機会が少ないことが子どもの生活・学習習慣、自己効力感などに影響を及ぼす可能性が大きいとしている。これに関連して、学習理解度も困窮層が低い傾向にあり、「家族から大切にされている」と感じる割合も同様に低かった。

親の不安定さが学校生活に影響

 家庭の経済状況の不安定さは、子どもたちの学校生活にも影響を及ぼしている可能性がある。

これまでにあったこと(2018年度小中学生調査)

「学校に行きたくないと思った」と問う項目で「よくあった」「時々あった」と回答した割合は、小5の困窮層が53.5%、非困窮層は45.6%で7.9ポイントの差。中2では困窮層が58.3%に対し、非困窮層は49.4%で8.9ポイントの差がみられた。また、「学校に遅刻した」という項目については、小5の困窮層が26.8%、非困窮層が18.8%で8ポイント差。中2困窮層が18.3%、非困窮層は11.4%で6.9ポイントの差が出ている。
 県は調査結果について「あくまで相関関係」として全てが経済的な状況に原因があると結論づけることはできないと前置きしつつも、これらの数値を「有意な差」として、困窮層に生活習慣面での課題があると指摘している。家庭の経済状況の不安定さや、それに伴って親に余裕がないことが子どもたちの学校生活に影響を与え、将来的な学業達成や進学希望にも差が生まれてしまいかねない事態が示唆されている。

 また、こうした子どもたちを支援するための「子どもの居場所」の利用状況については、「利用している」という子どもの割合が全体の7.7%にとどまっており、家庭の所得状況による有意な差はなかった。
 利用していない理由については、各学年ともに「知らなかったから」が約半数を占めており、支援策が届くべき層に届いていない現状を示しているとも言え、県は「困窮層の割合から考えると、さらに広く利用されるように(情報を)届けることが望ましい」としている。

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