国会の内装でも使用 沖縄の石灰岩「石に注目の見学も楽しい」

 
沖縄の石灰岩が使用された国会の中央広間=2日、東京都

 政治の場面で多く登場する国会議事堂。実は、内装で最も多く使われている石材は、沖縄県内で産出された石灰岩だ。

 国会と言われて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、真ん中に位置する三角屋根の中央塔だろう。その真下にあるのが中央広間だ。象牙色の石材が広間の床や壁、柱、バルコニーの欄干に至るまでを覆っている。

 「最初は糸満の石材に目を付けたようだ。でも、これだけ多くの量なので足りなくて、本島に近い瀬底島で採り、さらに宮古島からも採ってきた」

 こう解説してくれたのは、石灰岩を専門とする国立研究開発法人・産業技術総合研究所の中澤努さん。広間に使われているさんご石灰岩は、1辺が1尺(約30㌢)の立方体で1万個分にもなる。

藻類の化石を指さす中澤努さん

 「建築材として有名なイタリア産の石材に似ていたこともあり、好まれたらしい。国会で使われたことがその後、さんご石灰岩が建築に広く使われるきっかけになったようだ」(中澤さん)。

 沖縄のさんご石灰岩は40万~100万年ほど前にサンゴや貝が堆積してできた。巻貝や二枚貝、ウニなどの姿も見られる。「国会中央食堂」の入り口付近にも使われていて、こちらは渦巻のような不思議な模様で埋め尽くされている。「これは藻(そう)類が化石化したもの」と中澤さんが説明してくれた。

 国会議事堂は1936(昭和11)年に完成した。全国各地の石材が使われていることから「石の博物館」とも呼ばれる。「石に注目して巡るのも楽しいのでおすすめ」と中澤さん。

 中央広間は国会の参観コースに含まれており、写真撮影も可能。訪れる際には、さんご石灰岩に注目することをお忘れなく。


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