17位のFC琉球「残留争い」から一歩抜け出す 18位宮崎に“価値ある勝利”

 
テゲバジャート宮崎とのアウェー戦に臨むFC琉球のメンバー=29日に宮崎県のユニリーバスタジアム新富(FC琉球提供)

 サッカーJ3で17位のFC琉球がアウェーで価値ある勝利を手にした。

 29日に宮崎県のユニリーバスタジアム新富で18位のテゲバジャーロ宮崎と今季第33戦を行い、2ー0(前半1ー0、後半1ー0)で快勝。FW阿部拓馬が前半、FW野田隆之介主将が後半に1点ずつを決め、ストライカー2人がしっかりと役割を果たした。これで通算成績は11勝16敗6分の勝ち点39。勝ち点34の宮崎に敗れていたら17位と18位が入れ替わっていたため、大きな一勝となった。

 日本フットボールリーグ(JFL)との自動入れ替え圏内となる最下位20位のギラヴァンツ北九州は勝ち点24、JFLとの入れ替え戦圏内となる19位のSC相模原は33。今シーズンも残り5試合となった現時点で琉球は「残留争い」から一歩抜け出した形だが、今後は上位陣との対戦も多いため、依然として余談を許さない状況が続く。

”乱打線”も粘りの守備で無失点

 序盤は宮崎ペースだったが、GKダニー・カルバハルが好セーブを見せるなどして得点を許さない。琉球もクロスやフリーキックから好機をつくり、一進一退の攻防となった。

 すると前半34分、相手のパスミスを自陣で拾った阿部が一気にカウンターへ。ドリブルでハーフラインを越えると、前線の右サイドを駆け上がったFW白井陽斗にスルーパスを送った。白井がダイレクトで相手のディフェンダーとゴールキーパーの間にグラウンダーのクロスを放り込み、ファーサイドに走り込んだ阿部がネットを揺らした。

 後半は宮崎の圧に押されて何度もピンチを迎えるが、ディフェンダー陣が体を投げ出して跳ね返したり、カルバハルが好セーブを見せたりしてリードを維持した。最後は後半42分にペナルティエリア内での競り合いから後半途中出場の野田が押し込み、ダメ押し点を決めて勝利した。

 シュート本数は琉球が16本、宮崎も15本に達し、乱打戦となったこの試合。ディフェンスでの粘り強さが最大の勝因となった。

阿部「試合をコントロールして勝ち点3を」

 阿部は先制点の場面について「スタートは相手のミスからでしたが、前に2人しかいない中でうまく連携が取れました。いいパスがきたので、流し込むだけでした」と振り返った。この試合は「2点取れたことと、失点ゼロで終われたことが良かった」としたが、次戦に向けては「90分通して自分たちがコントロールして試合を進めるのが目標。それがまだまだできていないので、コントロールした上で勝ち点3を取りたいです」と気を引き締めた。

 金鍾成監督は「前線と後ろのラインを少しコンパクトにして、入ったボールに対して挟み込めるように距離を近く取って守備の対応をしました。あとはいかに奪ったボールをいかに動かせるか。後ろでボールがうまく回らず危ないシーンがあったので、ゴールキックを含め後半の途中から前線に蹴り込むように指示をしました。ゴール前はしっかり固めて守るしかないので、ギリギリのところで勝ち点を持って帰ることができたと思っています」と振り返った。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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