桶谷HC「彼がキャプテンだから優勝できた」キングス主将5季目、田代が得た信頼

 

各選手がリーダーシップ発揮できるチームを

同じ生え抜き選手の岸本隆一(右)とコミュニケーションを取る田代
同じ生え抜き選手の岸本隆一(右)とコミュニケーションを取る田代

 当の本人は主将として5シーズン目に入ることをどう捉えているのか。公開練習後の囲み取材で受け止めを聞かれると、笑顔で「重責ですよね」と言った後、肩の力を抜いてこう続けた。

 「このチームはみんながリーダーシップを持っていますし、苦しい時でもみんなが声を出せる。そういったメンバーに支えられて5シーズンやってこられているので、今後もみんなの力を信じてチームで戦っていきたいと思います」。この言葉だけだと他力本願のように聞こえるかもしれないが、そうではない。田代はこうも言った。

 「選手一人一人に乗り越えないといけない課題が絶対にあるので、その課題を乗り越える作業をやっていけば、それぞれが信頼を得てリーダーシップを持つことができる。自分もいろいろ課題があるので、乗り越えていく姿を見せてチームメートにいい影響を与えられたらいいなと思います」

 各選手が個人として成長を続け、お互いに信頼し合い、それぞれがコート上でリーダーシップを発揮して意見を言い合えるチーム。それが、田代が主将として目指すチーム像なのである。

チーム一丸で2連覇に挑むキングスの選手、スタッフ
チーム一丸で2連覇に挑むキングスの選手、スタッフ

 一人の選手としては、やはり昨シーズンの結果には満足していない。「まずはディフェンスで相手のエースをちゃんと抑えられるようにしたい。あとは長い時間出場し、勝敗を分ける試合の終盤でコートに立ってることを目標にしたいです」と話し、まずは負傷前のような状態に戻すことを優先的に考えているようだ。その上で「まわりの選手の個性を見ながら、どう生かすかを考えてバスケをやるおもしろさに少しずつ気付き始めてるので、そこも深めていきたいです」と進化も見据える。

 精神的に自立し、自身の立場が確立される「而立(じりつ)」の年齢を迎えた田代。心身ともに成熟し、これからも独自のキャプテンシーでキングスをけん引してくれるに違いない。

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長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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