桶谷HC「彼がキャプテンだから優勝できた」キングス主将5季目、田代が得た信頼
- 2023/9/15
- エンタメ・スポーツ
琉球ゴールデンキングスの主将として歴代最長の5シーズン目に入った田代直希(30)。2016-17シーズンのプロデビューと同時にキングスに入団し、所属年数は12季目の岸本隆一に次いで長い8季目の生え抜き選手だ。学生時代は得点能力の高さが売りだったが、プロ生活でディフェンス力に磨きを掛け、オフェンスでも相手との間合いをうまく使いながらまわりも使える選手に成長した。
ただキャリアを通して怪我が多く、負傷明けで臨んだ昨シーズンも出場時間の確保に苦しみ、厳しいシーズンを送った。しかし、13日にあった公開練習後のメディア対応で田代の主将継続を決めた理由を問われた桶谷大HCは、こう断言した。
「彼がキャプテンをやったからこそ、昨シーズンの優勝があると思っています」
なぜ、指揮官からここまでの信頼を勝ち取ることができたのかー。
昨シーズン終盤、コート内外で成長体現
田代は誰よりも声を出し、熱量たっぷりにチームを鼓舞するという、多くの人がイメージするようなタイプの主将ではない。コート上で激しいディフェンスを愚直にこなしたり、攻守においてチームがやりたい戦術を体現したりすることでチームを引っ張るスタイルだ。
ただ冒頭で記した通り、昨シーズンは層の厚いキングスにあって出場時間が伸びず、なかなかコンディションが上がらずに苦しんだ。レギュラーシーズンの平均出場時間は12分10秒にとどまり、個人成績はキャリアの中でも低水準の2.4得点、1.0リバウンド、1.4アシスト。もどかしい状況の中でメンタルが安定せず、コート内外で存在感を発揮できない期間が長く続いた。
しかしシーズンが進むごとに徐々にチームの完成度が高まっていく中、田代も自らの役割を見つめ直し、チャンピオンシップの頃にはベンチにいても味方の好プレーに対して率先して喜びを表現してポジティブな雰囲気をつくる姿が目立った。円陣などでは各選手に発言を促すことでコミュニケーションを円滑にし、それぞれがリーダーシップを発揮できる環境づくりに注力した。
精神面の成長に伴い、コート上でも短い出場時間で結果を出す場面が増えた。特に優勝を決めたファイナル第2戦では4分16秒のみのプレー時間にも関わらず、大事な場面で千葉ジェッツの点取り屋、クリストファー・スミスから体を張ってオフェンスファウルを誘い、キングスに流れを引き寄せるために一役買った。
それらの姿を念頭に、桶谷HCは田代の主将継続を決めた理由を説明した。
「本人も苦しんだけど、昨シーズンの最後は田代が一番成長し、彼自身が厳しい状況を乗り越えられた。それがチームにとって、すごくいいキャプテン像だったと思います。彼がキャプテンだったからこそキングスはあの結果を残せたし、継続してくれればみんなが落ち着いてチームをつくることができるので、変える必要はないと考えました」
田代に直接打診したのは、バスケW杯が沖縄アリーナで開催されている間に行った石垣島合宿の時。当初はびっくりした様子で「自分じゃなくてもいいんじゃないですか?」と返答したというが、桶谷HCが継続を望む理由を説明すると「桶さんがやってほしいと言うなら、僕は受けます」と快諾したという。