沖縄の無人島・屋那覇島、中国系企業が土地取得で渦中に リゾート計画も

 

土地利用規制法の対象外

中央の大きな島が伊是名島で、屋那覇島は右下の三日月状の島

 SNS上では中国人女性の土地購入をうらやむ声のほか、「中国の土地が広がった」「釣魚島(尖閣諸島の中国名)も買おう」などのコメントも見られ、領土問題の視点からも関心を集めることとなった。

 13日にあった松野博一官房長官の定例会見では、記者から「与那国島から奄美まで自衛隊が南西シフトとして展開しており、中国の太平洋進出を防止するための第一列島線と位置付けている」として、領土問題を絡めて屋那覇島の重要性についての政府の認識を問う質問が飛んだ。

 それに対し、松野氏は屋那覇島について「領海基線を有する国境離島または有人国境離島、地域離島に該当するものではない」と答え、国境離島や自衛隊基地周辺などの土地取引を規制する「重要土地利用規制法」の対象外との認識を示した。土地取得については「個々の事例に関して詳細は分かりませんので、私からコメントすることは差し控えさせていただきたい」と話すにとどめた。

村には誹謗中傷殺到 業務に支障も

 今回の一件は連日のように全国向けのニュースやワイドショーでも取り上げられ、伊是名村役場には問い合わせが殺到し、誹謗中傷も多いという。土地の売買に村が関わったと勘違いした人から「村が中国に土地を売ったんだろ」などと、電話越しに数十分にわたって怒鳴りつける人もいて、担当者は「通常業務に支障が出ています」と嘆く。

 土地の売買については、中国系企業からは「登記されて以降に連絡はない」といい、リゾート開発計画があることは一連の報道で把握した。村民同士でも話題に上がることが多く、身近な島だっただけに開発に対する懸念の声も聞かれるという。

 前出の本島在住の30代女性は「島は平坦で海もとてもキレイだからリゾート開発はできると思うけど、島の人にとってはとても身近な場所なので、開発されることはとても悲しいです」と話す。

 沖縄県内の離島におけるリゾート開発を巡っては、那覇市の不動産業者が八重山諸島の竹富町(竹富島)で地元の同意を得ないままリゾートホテル建設を計画し、自然環境への悪影響や生活用水が枯渇するとの懸念から住民が猛烈に反発したことがある。それに対し、業者が名誉毀損を訴えて2019年に村民を提訴する事態にまで発展。最終的に同社の訴えは「事業者の社会的評価を低下させるような印象を与えるとは解しがたい」として棄却され、計画は頓挫した。

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