”耕畜連携”による循環型農業を JA中央会の嵩原専務に聞く沖縄農業の1年と未来

 

ー2023年の展望は。

沖縄のサトウキビ畑(資料写真)

 足場を固めるため、経営基盤を再構築しないといけません。例えばサトウキビでは高齢の生産者が増えていて世代交代の時期を迎えているので、畑を遊休させないためにも、若い人たちに継承していくことが求められています。キビはある程度大きな面積で生産しないと儲けが出ないので、農地を集積させることも必要かもしれません。収穫面積を維持するための仕組みが必要です。

 組織も個人も一人では生きていけない時代になってきています。2022年にはJAグループ沖縄とコープおきなわで包括連携協定を結びました。コープさんは宅配ビジネスがとても進んでいるので、10月からは組合員から注文を集める「共同購入」について、コープおきなわの宅配の仕組みを活用して利用してもらえるようになりました。今後、外部との連携の可能性も見出していきたいです。

ー沖縄農業の未来について。

 この先、沖縄農業が発展する可能性がどこにあるかを考えた時に、畜産サイドと耕種サイドによる「耕畜連携」による循環を回していかないと伸びていかないと感じています。例えば畜産には糞尿の処理という課題がありますが、なかなか規制が厳しくてうまく生産拡大ができないという現実があります。そこで、この家畜の排泄物を堆肥化し、肥料や農薬の高騰に苦しむ耕種の農家さんに低コストで提供する。こういう循環を回していけば、沖縄農業をそれぞれ発展させていく余地があるのではないでしょうか。

ー県内の市町村や地域での事例はありますか。

 宮古島市では、共和化工という民間会社が資源リサイクルセンターを運営していて、サトウキビの搾りかすや家畜の糞尿などを集めて堆肥を作り、安値で農家に還元しています。まだスケールは大きくないですが、一つのモデルになる可能性があります。こういう取り組みを沖縄本島でもやりたいです。温暖化の問題などにすぐに直結はしなくても、環境配慮型の農業ができれば持続可能性も高まります。沖縄は島しょ県なので、外から入ってくるものに頼るビジネスモデルだけでなく、島の中である程度完結する経済の仕組みも必要だと感じます。こういった取り組みは一人一人が意識を持っていてもなかなかうまく回らないので、枠組みが必要です。行政や専門家、農業団体が一緒になり、沖縄ならではの耕畜連携をつくれたらいいと思います。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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