沖縄黒糖と富山昆布が包括協定 両県サッカーチームの交流から

 
北陸昆布協会の谷和典副会長室(左から2人目)と沖縄県黒砂糖協同組合の西村憲代表理事(同3人目)ら=10月13日、富山県内(沖縄県黒砂糖協同組合プレスリリースより、以下同)

 九州サッカーリーグの沖縄SV(エスファウ)が、J3カターレ富山に黒糖100kgを送ったら、昆布が返ってきた―。

 この縁がきっかけで、沖縄県黒砂糖協同組合(沖縄県那覇市、西村憲代表理事)と、富山、石川、福井の北陸三県の会員からなる北陸昆布協会(福井県敦賀氏、橋本慶代表)は、沖縄黒糖と富山昆布の“ローカル食材”の交流で価値を創造すべく包括協定を締結、13日に富山県内で発表会を開いた。沖縄SVの監督兼代表で元日本代表の高原直泰さんが2月に「沖縄黒糖アンバサダー」に就任して以来、Jリーグ7チームに合計700kgを送ってきた活動が発展的につながったもので、同クラブの妙摩雅彦COOは発表会で「ゆくゆくはライバルになるかもしれないチームに『敵に塩を送る』じゃないですけど、黒糖を送っています」とユーモアを交えてあいさつした。

沖縄SVの妙摩雅彦COO

うま味と甘味の”ビッグコラボ”

 包括協定を締結したことで今後、富山県内のレストラン「ヘルジアン・ウッド ザ テーブル」にて沖縄黒糖と富山昆布を使ったランチコースの提供が始まる。さらに、沖縄、富山両県のこども食堂に黒糖・昆布を届けるほか、レシピも提供する。

 昆布と黒糖は食材としても調味料としても活用できるため、関係者からは「主役にもなれるし引き立て役にもなれます。その2つがタッグを組んだというのは非常に意義深いと思います」と声が上がるなど、うま味と甘味の”ビッグコラボ”に期待が高まっている。

突然の黒糖100kgから始まる物語

 カターレ富山に高原さんが黒糖100kgを送ったのは今年8月。今シーズン沖縄SVに加入した戸高弘貴選手が昨シーズンまで所属していたチームという縁もあって「黒糖をどうぞ」ということになった。黒糖のPRだけではなく、黒糖にはミネラルが豊富に含まれており熱中症対策にもなるため、特にスポーツチームは一石二鳥の贈呈先ともなった。

カターレ富山の左伴繁雄社長

 カターレ富山の左伴繁雄社長は「8月23日に突然黒糖が送られてきた時にはとても驚きました」と話すものの、そのお返しも早かった。約10日後の9月2日には沖縄SVに昆布が届いた。「カターレ富山 大営業本部」のツイッターアカウントが沖縄SVから黒糖が届いたことを発信すると、これを見た富山サポーターたちが「お返しは何にしよう」とツイッター上で議論した結果、富山が消費量日本一を誇る昆布がふさわしい、となったのだった。

実は江戸時代から続く黒糖⇔昆布

 沖縄からは黒糖を、富山からは昆布を。実はこのやり取り、江戸時代中期、沖縄が琉球だった時から行われていたものだった。

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