さーきーのマジムン飯⑥嫌がらせ上手?!ヒチマジムン

 
スズカーサーキットさーきー

 はいたい!沖縄で女芸人をしています!スズカーサーキットさーきーです!

 今回で6回目となる「マジムン飯」!

 前回は食べ物を腐らせる厄介なマジムン、「ウチャタイマグラー」とマジムンを撃退する食材・生姜がたっぷり入った中身のおつゆを紹介しました。

 夏の暑い季節も過ぎようとしていますが、生姜がたっぷり入ったおつゆで汗をかいて、体の中から暑気払いするのもおすすめですよ!

 さぁ、今回も!沖縄に潜むマジムンの特徴やエピソード、そしてマジムン退治に効果的!?な料理をマジムン大好き!料理大好き!な私さーきーが紹介していきます!

「赤飯がいいか?白飯がいいか?」

 今回紹介するマジムンはこちら!

 ヒチマジムン

 幽霊の一種であるヒチマジムンは、道つじを歩いている人を惑わせ、攫い迷わせる。時には猛スピードで駆け抜け、人間を30里(約117キロ)も離れた場所に捨てるそう。

 また、出会った人間に「赤飯がいいか?白飯がいいか?」と話しかけ、赤飯を選ぶと赤土を、白飯を選ぶと波しぶきを食わせるという。どっちを選んでも最悪な結果になりますね。どーすりゃいいんだよ。

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 ちなみに…

 沖縄でお馴染み(?)ヒチマジムンはなんと奄美大島でも知られた存在だとか。奄美大島でのヒチマジムンは、難産で死に、そのまま妖怪化した女性だと言われているそう。出会ったら最後、絶対に逃げることができない恐ろしい妖怪と言い伝えられている。奄美大島は島の位置が沖縄に近いためか、文化や妖怪が似ていたりする。その辺もいつか調べてみたい!

 さぁ、そんな嫌がらせ上手なヒチマジムンにぴったりなマジムン飯はこれだ!

マジムン対策に!ふちゃぎ

 沖縄の十五夜と言ったらふちゃぎを思い出すウチナンチュも多いのではないでしょうか。県外のシンプルな丸い団子とは異なり、お餅に小豆が散りばめられた独特な見た目のお餅・ふちゃぎ。なぜふちゃぎがあんな見た目になったのか、この記事で紹介するのにふさわしい理由がある。

 ふちゃぎは沖縄の十五夜(旧暦の8月15日)に豊年を願ってヒヌカンや仏壇にお供えをする縁起物。そんな神様やご先祖さまへのお供物を狙っているのがマジムンである。マジムンはお供物やお弁当などに手を出してはたちまちに腐らせてしまう。そんなマジムン対策に活躍するのが小豆である。小豆は強さの象徴であると同時に魔除けの効果もあるのだそう。ほら!マジムン除けにぴったり!

 五穀豊穣に通じるお餅に魔除けの小豆を合わせたのが最強の御供物・ふちゃぎ。今回はこのマジムン除け最強のふちゃぎを一から作ってみよう!

意外と簡単!母直伝「餅の粉あれしてから、豆炊く!」

 と言っても著者さーきー、一度もふちゃぎを作ったことがありません。お月見の時期になるとスーパーでよく見るけど「この日はふちゃぎを手作りするよ!」という人は聞いたことがない。(私はね)

 いや、待てよ。あの人なら分かるかも。実母に電話して聞いてみよう。

 やっぱり困った時に頼れるのは親。ということで、実家の母親に電話してふちゃぎの作り方を聞いてみることに。

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さーきー「もしもし?急で悪いんだけど、ふちゃぎの作り方って分かる?」

母「ふちゃぎ!?ふちゃぎって豆の餅!?」

さーきー「そうそう。十五夜に食べるやつ」

母「あれはさー!餅の粉あれしてから!豆炊くんだはずよ!」

さーきー「味付けとかは?」

母「分からん!自分で調べてみて!じゃあね!ツーツーツー…」

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 うーん。得られた情報が薄い。薄すぎる。スケスケの会話からかろうじて分かったのはもち粉と豆を使うことくらい。

 しかも最後には「分からん」って言われたし。分からんのはこっちのセリフじゃ。

もうここは母親の言う通り自分で調べた方が早そうだな。

 と、いうことで今回は「保存版 沖縄ぬちぐすい辞典」に載っているレシピで昔ながらのふちゃぎを作ってみよう!

 ふちゃぎの作り方はこのように書かれていました。

 「もちの粉を水で溶いて長い楕円形に整えて蒸し、餅が熱いうちに煮崩れないように茹でた小豆を周囲にまぶす」

 Wao!めっちゃシンプル。レシピがまさかの一行で完結していました。なんとなくだけど「ふちゃぎ」という複雑な料理名とレシピの内容が一致していない気さえします。

 兎にも角にも、作ってみないことには文句も言えません。(すでに若干言っちゃってるけど)さっそく材料を用意して作ってみました。

 まずは小豆をたっぷりの水に浸す。本には書いていなかったけど、そのまま煮ると渋いはずなので一晩浸けておくことに。

 一晩水につけた小豆を柔らかくなるまで茹でていきます。

 もち粉を適量入れて水を入れてこねる。もち粉の量とか水の量とか全く分からないけどそこはもう勘でぶち込みます。しばらく揉んで、もちが耳たぶくらいの固さになったのでOKとします。

 こねたものを長い楕円にして蒸していきます。なんだか形を整えたもちに愛着が湧いてきました。粉からこねて生み出したもちなので我が子感があるというか。少し可愛く見えてきました。

 茹でた小豆を敷いてもちを転がしていきます。

 ころころ転がして…あっという間に出来上がり!

 わー!これ!見たことある!完璧なふちゃぎだ!

 レシピを見た時のあの不安な気持ちもいつの間にか消えていました。ふちゃぎって案外簡単に出来るんだなぁ。

 早速出来上がったふちゃぎを食べてみましょう。…おお、これは…。すげえ素材の味がする。まぁ、そりゃそうか。もちにも小豆にも味付けしてないもんね…。味もレシピと同様にすごくシンプルなんだな…。

 ふちゃぎが出来上がった時の感動ゲージがMAXから少し下がるくらいの気持ちにはなりましたが、これもいい経験だということにしましょう。

 というわけで今回は人間を攫いとんでもない場所に捨てるヒチマジムンと、マジムン除けにぴったりな最強のおもち・ふちゃぎを紹介しました。みんなもぜひ十五夜の夜に作ってマジムンを退治してね!食べた時に悲しい思いをしたくない人はぜひ作る時に砂糖を入れてくれ!

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