【詳報】キングスに新たな壁 初ファイナルは2連敗で準優勝

 

最終第4Q 猛追及ばず

外からシュートを放つ今村佳太(©B.LEAGUE)

 勝負の第4Q。開始時のスコアは54-55で1点を追う展開。

 先に波に乗りたいキングスだったが、前日の第1戦と同様に宇都宮の比江島に連続得点を許して先行される。さらに渡邉裕規のスリーやミドルで点差を離され、残り約4分で58-68と10点差を付けられた。

 それでも諦めない。岸本のスリーやクーリーのブロックショット、ダーラムのバスケットカウントワンスローなどで連続8得点を挙げ、残り2分22秒で2点差まで詰め寄った。

 「こんなところで終わりたくない。勝ちたい。その気持ちだった」(今村佳太)

 再び6点差を離されたが、フリッピンと今村の連続スリーで残り1分を切ってまたも2点差に。

 しかし、ここで比江島がバスケットカウントワンスローを決めて差を5点に広げられる。最後はフリッピンのパスミスや、今村のスリーがブロックされるなど決め手を欠き、逆転には至らず。無情にも、試合終了のブザーが鳴り響いた。

安齋竜三HC キングスに賛辞

宇都宮ブレックスの優勝セレモニー(©B.LEAGUE)

 喜びを爆発させる宇都宮の選手やスタッフに対し、キングスベンチには呆然とし、悔し涙を流す選手も。優勝セレモニー中、うつむく選手も多い中、今村はまばゆいスポットライトを浴びる宇都宮の選手たちをじっと見詰めていた。

 「今シーズン、あの景色を自分達が勝ち取ると思ってやってきたので、しっかり目に焼き付けておこうと思って見ていました」

 一方、セレモニーでマイクの前に立った宇都宮の安齋竜三HCは「今季琉球はレギュラーシーズンから本当に強くて、最高で、最強のチームだと思っていた。僕たちがどのくらいやれば倒せるかという勝負だった。琉球がそういうチームだったから、自分達の力以上のものが発揮できた」と最大の賛辞を送った。

経験の差を痛感 宇都宮は2戦ともターンオーバー1桁

 2試合を通して常に安定したプレーを続けた宇都宮に対し、勝負所でのミスやここ一番で欲しいシュートを決めきれなかったキングス。何が両チームの違いを生んだのか。試合後の会見で、桶谷大HCはこう分析した。

 「一つ違った点があるとすれば、経験の差もあったかなと思います。僕たちが勢いを付けて勝つことが必要だったけど、勢いに乗せないように、乗せないようにやられた。そこの差はすごくあった」

 昨年準優勝の宇都宮は日本人選手を中心にファイナル経験者が多く残り、中でも日本人初のNBA選手である田臥勇太はリーグ初年度の優勝も経験しているのに対し、キングスは昨季優勝の千葉に在籍していたフリッピンのみ。安定感の差は、数字にも顕著に現れた。

優勝を喜ぶ宇都宮の比江島慎(©B.LEAGUE)

 ターンオーバーの数は第1戦がキングス12に対して宇都宮は8、第2戦はキングス11に対し、宇都宮はわずか5のみだった。宇都宮は優勝の懸かる第2戦の前半はゼロで、緊張する場面でもいかに落ち着いたメンタルで戦っていたかが分かる。第2戦、キングスはスリーがルーズボールとなる場面が多く、成功率が22.6%(31本中7本)と極めて低調となったことも精神面が影響していると言わざるを得ない。

 また、主力ガードの1人である並里が不在だったことも最後まで影響した。攻守で常に強度の高いプレーをする宇都宮に対し、ローテーションの一角を担う選手を欠いたことで、第2戦の終盤では同じガードの岸本らに濃い疲労が見て取れた。

 桶谷HCは並里不在の影響について「たられば」としながらも「成は今季ずっといろんな面でチームを支えてくれた。スタートもバックアップも経験して、今までにないシーズンだったと思う。プレーメーカーが何人かいる中で黒子役に回り、自己犠牲も払って、チームをファイナルに連れてきてくれた。彼がいなかったことですごく厳しい試合になった」と振り返った。

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