キングス、初のファイナル進出に王手 最大21点差を逆転 島根に94-85

 

後半はリバウンドで優位に 島根はファウルトラブル

 第4Qは中盤まで一進一退の攻防が続くが、今村や並里成のスリーで突き放しにかかる。

 島根も粘りを見せたが、残り5分を切った時間帯にエンドラインからのボール出しで5秒バイオレーションを取られたり、安藤がフリーのレイアップを外したりと痛恨のミスが続き、万事休す。一方のキングスは、最終2分で岸本がスリーをヒットさせ、さらにスティールから得点を演出するなど勝負強さを発揮し、勝ち切った。

第4Qの最終盤、左コーナーからスリーを決める岸本隆一

 勝因の一つとなったのは、リバウンドだ。前半こそ13対26と圧倒されたが、後半は相手ビッグマンのファウルトラブルもあり、逆に18対10と大きく上回った。

 勝利の立役者となったダーラムは「(後半に)リバウンドを確保したことで、走ることができた。速攻に走ることで島根が守りをセットする前に簡単に攻めることができた」と振り返った。

 キングスは警戒していた安藤を6点、金丸はわずか2点にシャットアウト。リードを許す時間帯も長かったが、この2人に対して終始強いプレッシャーを掛け続けたことで、大きく流れを持っていかれなかった。

今村「みんなで東京体育館に」

勝負所でスリーを沈め、客席に向けて吠える今村佳太

 チームトップの21得点を挙げた今村は「第1Qでイニシアチブを取られたけど、その中でバウンスバック(立ち直ること)できたことは非常に大きな勝利。この流れは手放したくない」と充実した表情で話した。

 チームが浮き足立っていた序盤から安定した活躍を見せ、「チームが厳しい時こそ活躍する選手になりたいというのが自分の理念。少しずつ体現できてきている」と深い自信をうかがわせる。次戦に向けて「島根のスリーをいかに削るかがキーポイントになる。硬いチームディフェンスを心掛けたい」と気を引き締めた。

 一方、スリー4本を含む17得点と活躍した島根の白濱僚祐は「後半に琉球がギアを上げてくるのは分かっていたけど、対応できなかった。そこを修正しないと勝てない。気持ちを前面に出して、絶対1勝をもぎ取る気持ちで全力でやりたい」とリベンジを誓う。

 コロナ禍でCSが中止となった2019-20シーズンを除き、3季連続で準決勝敗退を喫しているキングス。ホーム沖縄アリーナの熱烈な応援を力に変え、分厚い”壁”を突破して東京体育館で行われるファイナルに駒を進めることができるか。

 試合終了後、コート中央でマイクを握った今村は、会場を埋めるファンにこう呼び掛けた。

マイクを手に笑顔を見せる今村

 「みんなで東京体育館に行きましょう」

 初のファイナル進出へ、舞台は整った。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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