「総括、蓄積、検証、分析が無い」沖縄県政に今必要なこととは 元副知事・上原良幸さんインタビュー

 
上原良幸さん

「沖縄県だけ特別措置を作ってもらっている現状をどう認識するのか。復帰50年を過ぎてもまだ国に対して『忖度してくれ』と言うのか」と厳しい口調で疑問を呈す、元副知事で沖縄県庁“一期生”の上原良幸さん。県庁40年の勤務経験や、中央省庁の官僚たちともやり合いながら築いてきた人間関係などを踏まえながら、これまでとこれからの沖縄の行政運営について話を聞いた。


“運動”一辺倒ではなく目に見える成果を

 ―上原さんは1973年に県庁に入庁して、40年間の勤務経験を経ました。復帰後の沖縄の県政や行政のあり方について振り返ってみて、どのように感じていますか。

「県庁に限ったことではないですが、世の中がどういう仕組で動いているか機能しているかということについて、行政の担い手も県民もあまりにも無関心な状況は変わっていません。

 先日、玉城デニー知事が岸田文雄首相に建議書を手渡していました。沖縄は建議書、建白書をよく作ったり提出したりしますが、この行為に実質的には行政的政治的な効力はないんです。結果だけで言えば、受け取る国も渡す県もどちらもパフォーマンスにとどまっている。それに対して、県民やマスコミも含めて『無視されている』とか言うけれど、そもそも具体的な成果を得るためのちゃんとしたルールに基づいていない。

 目に見える成果を出すためには、そのための慣例や制度がちゃんとあります。行政や政治をやるためには根拠・理由がきちんとあって、それから外れたことをやってもダメなんですよ。でもそれを繰り返しているという意味で、やっていることが『運動』に過ぎないと言っていい。正直言って、これは政治ではないんです。そのことに気付かない方がおかしい。

 運動がダメということではなく、運動ばかりやっていてはダメということです。復帰運動も含めて。もちろん政治的な動きを主導した人たちもいたし、声を上げることの意義もある。でも同時に、やるんだったら解決するにはどうするかということまで考えないといけない。『絶対に譲らない』ということだけではなく、100のうちの2でも3でもいいから、成果を勝ち取らないといけない。今回の建議書も、今後何かの結果につながらなければ、『出したから何なの』ということになりますよ。

 過去にも翁長雄志知事がオール沖縄でやった建白書がありました。あれはオスプレイ配備反対を主旨としていましが、今空を見上げたら日常的に昼夜構わず飛んでますよね。この現実を見て『我々がやった闘争は何だったのか』という総括をしないといけないんですが、それが無い。感情の発露、怒りをぶつけることだけに終始している。怒りをぶつけるのは良いんだけど、誰にぶつけて、具体的に何を求めるのか、そのためにどんな手立てを考えているのか。そこなんですよ」

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