保護猫に癒されるカフェ&ショップ オーナーにその魅力を聞く

 

 20匹の個性豊かな保護猫たちと触れ合うことができるカフェ&ショップが宜野湾市内にある。2020年6月12日(ワンニャンの日)にオープンした「Nouvelle Vague(ヌーベルバーグ)」だ。

 コワーキング利用可能、カフェだけどドリンクはペットボトル、などあまり聞いたことがない仕組みが詰まったこのカフェでは、縁があれば譲渡相談もできる。開業に至った想いや特徴をオーナーに聞いてみた。猫たちのかわいい画像もお楽しみいただきたい。

コワーキング利用も可能!保護猫とつながるカフェ&ショップとは?

入ってすぐにある「ネコワーキングスペース」

 店内に入ると、まず気づくのは、この店ではコワーキング利用が可能だということ。コワーキングスペースはWi-Fi完備、コンセントフリーだ。

 ここでは猫と一緒に仕事できる「ネコワーキング」が特徴だ。

 ネコワーキングの仕組みは至ってシンプルだ。2000円の価格で営業時間内は終日出入り自由。最大8時間利用できる。

 コワーキング利用者には、ドリンク1杯(ペットボトル1本)が無料で付いてくる。なぜペットボトルかというと、キッチンを「猫立ち入り禁止」にすればドリンクを作り提供することもできたが、猫が暮らすように過ごせる場づくりを重視しているため、あえてつくらなかったのだ。

 ちなみに近くに食堂やカフェがあるため、食事はそちらで済ませるのがおすすめとのことだった。

 リモートワークが定着しはじめた頃、SNSで「猫に邪魔されて仕事ができない(幸)」のような、新種ののろけ投稿が目立った時期があったが、その画像を見て癒された人は少なくないのではないだろうか。マンションなどの事情で猫を飼えない人にとって、猫に仕事を邪魔される体験がコワーキングで実現できるのは嬉しい。

憧れの、猫に仕事を邪魔される図

 カフェのオーナーが槇本峰さんだ。槇本さんによれば、無邪気な猫によってPCのキーがひとつ取れてしまったこともあるらしい。ネコワーキングを利用する際は、くれぐれも自己責任でお願いしたい。

 槇本さんいわく「集中力が必要な仕事にネコワーキングは不向き。単純作業に最適」とのことなので、ネコワーキングしたい人は、単純作業をためてから来店しよう。

 とはいえやはり、一番おすすめなのは奥のメインルームでしっかり猫と触れ合うことだ。

メインルーム

 この部屋では広々とした空間に、20匹の保護猫たちがのびのびと過ごしている。まるで猫が暮らす家に遊びに来たような感覚を体感できるのが特徴だ。

 この部屋の低い椅子や地べたに座ることが許された環境は、猫たちと同じ目線になるための工夫だ。目線が同じになることで好奇心旺盛な猫たちが集まってくるので、ぜひ床に座ることをおすすめしたい。

きっかけはペットイベント。「無理をしないと成り立たない状況をどうにかしたい」

左:ヌーベルバーグ代表・槇本 峰さん/右:代表理事・石垣深樹さん

 ヌーベルバーグのオーナーは、これまで主にペットやアウトドアのイベント主催をしてきたミライノ合同会社代表・槇本 峰(まきもと たかし)さん。そしてこの店のペットケアや譲渡会のサポート役を、一般社団法人動物愛護の会アベニール(以下:アベニール)がボランティアで行っている。

 ヌーベルバーグ開業の想いやきっかけを、槇本さんとアベニール代表理事の石垣 深樹(いしがき みき)さんにうかがった。

槇本さん「石垣さんとは僕が主催するペットイベントで知り合いました。そして昨年石垣さんから、知り合いのシェルターから31匹の保護猫を引き取らなければいけないという相談を受けたんです。それが最初のきっかけですね」

石垣さん「アベニールは元々持っている保護部屋で数十匹の保護猫をお世話して、新しい家族を探していたんですけど、保護活動をしていたボランティアさんが事情があって急遽31匹保護猫を引き取ってくれないかと相談されて、正直、自分たちもたくさんの保護猫を抱えていたので引き取ることを悩みましたが、私たちが引き取らないと、どうにもならない状況で…」

槇本さん「その相談を受けた時、最初は引き取り先を僕も一緒に探しますよという話だったんです。だけど話を聞けば聞くほど、愛護団体の方達がとても無理をして活動を続けていることに違和感を感じました。いつしか“無理をしないと成り立たない状況”をどうにかしたいという思いが募っていったんです。シェルターを探すのもいいけど、それは本質じゃないと思って、思い切ってこういう店をやりませんかと提案しました」

石垣さん「動物保護活動とお仕事のバランスをとることが結構難しくて。猫中心に生活しないと成り立たない状況ですが、自分たちの生活も守らないといけないので。槇本さんは、そこにまた負荷をかけるのではなくて、きちんと仕事になるようにしたいと言ってくれたんです」

槇本さん「もっと持続化できるような形にしたいと思ったんです。愛護団体は非営利団体なので、お店の経営ができないから、じゃあ僕がお店をやります、と言いました。だけど猫の健康管理や譲渡など、協力してもらうことは増えると思いますが、それでもいいですか?という話をしたら、石垣さんは快く引き受けてくれて、僕も覚悟ができました。実は以前からやりたいと思ってたというのもあって」

保護猫のイメージを変えたい

 現状、捨て猫の多い沖縄県では愛護団体がいくつかあるが、どこも私生活と保護活動のバランス調整など「無理」をしてることは否めない。

 このままのやり方をずっと続けるのは違う。そう思った槇本さんは「保護猫活動を持続化すること」を目標に掲げ、カフェをOPENした。

 カフェとして経営するメリットは、保護猫の居場所づくりだけではない。保護猫=汚いイメージを持っている人も少なくないため、イメージを変えることも目的のひとつにある。

 筆者も訪れて驚いたのだが、ここで暮らす猫たちは驚くほど毛並みがきれいで、人への警戒心は感じられず、それどころか人間を好きになろうとしてくれるように見える。

 イメージとのギャップを石垣さんに打ち明けてみたところ、こんな言葉が返ってきた。

石垣さん「猫は、性格が優しいんです。だから一度裏切られても、こうやってしっかり愛情を注ぐことで、許してくれるんです」

 ここでは猫たちは「スタッフ」なのだと槇本さんは話す。

槇本さん「ここでは猫たちがそれぞれの魅力で人間を接待して、自分たちのご飯代を稼いでいるんです。そしてお見合いのように訪れた人と相性を確認し合い、お互いが居心地がいいと思ったら、そのまま相思相愛で家族になれればいいなと思います」

 もうひとつ、重要な目標は「譲渡」だ。だが簡単には譲渡できない。訪れた人が「この子を飼いたい」と思ってから、1次審査、2次審査を経て、「この人の元でなら幸せになれる」と判断された家にのみ、譲渡が許される仕組みである。

 アベニールの方が家の訪問なども行い、およそ1か月かけて審査や面談をし、通過すれば無事引き取ることができるのだ。悲しみを繰り返さないための仕組みである。

 アベニールは、さくら猫活動も精力的に行っている。

 さくら猫活動とは、飼い主のいない猫に対し「さくらねこTNR(Trap/捕獲,Neuter/不妊去勢手術,Return/元の場所に戻す)を行い、その印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットすることだ。それにより繁殖を防止し「地域の猫」として一代限りの命を全うさせ、「飼い主のいない猫」に関わる苦情や殺処分の減少に寄与する活動である。

さくら猫の耳

「カフェOPENはゴールへの過程」目標は”動物を保護する必要のない社会”

 ヌーベルバーグの開業や譲渡の成立は、ゴールではなく通過点だと槇本さんは語る。

槇本さん「猫が好きな人はもちろん、保護猫に偏見がある人にもぜひ足を運んでもらいたいです!猫たちがのほほんと暮らす姿を見て、猫ってこんなに可愛いんだなと思ってもらいたいんですよ。ヌーベルバーグのゴールは、猫たちがいいお家を見つけることにありますが、最終ゴールは『動物保護をしなくていい社会になること』なんです。そういう意味でいうと、この店はまだ通過点に過ぎないんですよ」

 現在、沖縄県内だけでも愛護団体は10を超えるという。それでも「全然足りていない」のが現状だというのだ。そして、カフェの開業も「通過点」でしかない。

 「動物保護をしなくていい社会になること」が、なぜこんなにも難しいのだろう。なぜ同じ命を、簡単に軽んじてしまう人があまりにも多いのだろうか。

 ヌーベルバーグでは保護猫とふれあう場づくりだけでなく、毎週土曜の譲渡会に加え、オンラインでの猫カフェ体験やサブスクチケット販売、猫のご飯やおやつの販売なども行っている。(県内の「ツクツク」登録店舗で使えるポイントも溜まるのでお得だ)

 槇本さんは、美しい毛並みの秘訣でもあるペットフード「アレヴァ ホリスティック」・ナチュラルハーブのケア用品「ネオルプス」の沖縄唯一の代理店らしい。

 ぜひ足を運んでいただきたいが、新型コロナウイルスもまだまだ油断ならないため、まずはオンラインのチェックをおすすめしたい。とにかく記事を読んだ人が、少しでも保護猫に興味を持っていただけると嬉しい。

◎保護猫とつながるカフェ&ショップ「Nouvelle Vague(ヌーベルバーグ)」
住所:宜野湾市大謝名94-11 ビリーバービル4階
営業時間:11時~19時(不定休)
電話番号:070-8438-2211
料金:30分500円+ワンドリンクオーダー制/60分1000円(ドリンク1杯付き)/ネコワーキング充実プラン2000円(ドリンク1杯付き、最大8時間出入り自由)/猫ちゃんおやつ200円/延長15分200円
公式サイト:https://home.tsuku2.jp/storeDetail.php?scd=0000114490

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三好 優実

三好 優実

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香川県出身・沖縄移住歴6年目のフリーランス編集者・ライター。主に沖縄県内の観光・グルメ・経済について執筆。シリーズ本「香川県あるある」の著者。

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