沖縄「半グレ」荒稼ぎ 危険水上バイクも 地元が規制訴え

 

「海水浴場」ではないビーチ 

 綺麗な白い砂浜が広がる天の浜。「隣の馬天港で泳いだら危なくて怒られちゃうから、地域の子どもたちはみんなこっちで泳いでた」(高江洲会長)。親しみを込め、名称も区民からの公募で付けられたという。

 東海岸の7市町村にまたがる中城湾を整備する県計画の一環で、地元の要望もあって人工ビーチとして整備されたため、両脇を防波堤で囲われ、波が少なく遊泳がしやすい。さらに市街地側には防砂壁も設置され、生活空間から切り離されたような場所となっている。一見すると自治体やホテル運営業者などが管理するビーチのようだが、実はそうではない。

 海岸責任者である県南部土木事務所維持管理班と南城市、与那原署が防砂壁に設置した看板にはこう記されている。

 「この海浜は、『沖縄県水難事故防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例』に基づく『海水浴場』ではありません」。つまり、他の一般的な海岸と同様に監視員を置いて遊泳者の安全を確保するなどの義務は無く、海水浴における事故があっても「利用者の責任」となる。

浜にある防砂壁に設置された看板

 無許可の商売は警察で取り締まりができるが、子どもらとの衝突事故などが懸念される水上バイクの乗り入れは規制する法的根拠が無いのが現状だ。

海開きシーズン前にくさび 区で決起大会

 高江洲会長によると、半グレの男2人が逮捕されて以降、浜で商売をしている様子はない。ただ、冬場の寒い時期で頻度が少ないとはいえ、水上バイクを乗り入れて遊んでいる人は見かけたことがあるという。気温が上がり、海水浴ができる季節となる春以降、地元では再び無法地帯化するのではとの懸念が広がる。

 津波古区は2月27日、水上バイクの乗り入れ禁止を求める総決起大会を浜で開催した。約200人が集い、決議では県や海上保安庁に対し「他県の参考事例に学び、知恵を絞って、条例制定ならびに積極的な法執行など、具体的打開策を示すことを求める」とした。

 高江洲会長は「海開きが県内各地で本格化する3〜4月を前にくさびを打ちたかった」と、この時期に開催した理由を説明する。その上で「水上バイクと衝突する危険があり、区民が平等に利用できない現状がある。管理者の県がちゃんと規制してほしい」と訴える。

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