キムタツコラム⑥県民が保護してきた琉球文化 街づくりに活用を

 

基地の跡地はショッピングモールばかり

 一方で、せっかくの沖縄文化を街づくりにもっともっと活かせばいいのにと思うことが多くあります。米軍基地返還の歴史が続いていますが、跡地にできるのはイオンやパルコなどのショッピングモールばかりです。今回訪れた県立美術館も基地の跡地ではありますが、やはり大きいショッピングモールであるメインプレイスが作られています。沖縄の友人に、沖縄県民は買い物が大好きなのか?と聞くと、決してそうではないと言います。インバウンド需要を見越して(つまり、主として中国からやってくる観光客のために)作られたのではないかという意見もありましたが、買い物をする外国人観光客のためにライカムにパルコにメインプレイスを用意するなんて変ですよね。それに、少なくとも日本人観光客にとっては自分たちの県にもあるようなショッピングモールなどよりも、市場通りや平和通りを歩いて買い物を楽しむほうが嬉しいのです。それに買い物であれば、帰りの那覇空港売店でじゅうぶんなのです。

沖縄ならではの街づくりを

 さらに言えば、「これぞ沖縄!」というような場所が、特に雨が降ると、ないんです。確かにおきなわワールドや琉球村などはありますが、そういった場所に沖縄の人たちが子どもたちを連れていくイメージがあまり湧きません。雨が降るともっぱらイオンという人が多いんじゃないでしょうか。せっかくの琉球文化が、沖縄の素敵な空気が、街づくりということになるとあまり反映されていないように思うのですが、県民の皆さんはどうお考えなのでしょうか。学校の先生方はぜひ公民の授業やホームルームなどでディスカッションの題材としてお使いください。

僕が知事なら「全天候型琉球文化体験施設」

 そこで提案なのですが、次に返還される米軍基地の跡地には、「これぞ沖縄!」を楽しめるような施設をクリエイトするのはどうでしょう。琉球王国宮廷料理や現代の沖縄食文化および泡盛、琉球王国と沖縄県の歴史、琉球芸能・音楽・やちむんといった琉球文化が総合的に楽しめる場所、沖縄の風を体感できる場所、雨が降っていても一日滞在できるような全天候型の広大な場所を創るのです。また、中には大型書店と図書館を併設し、その横では無料か安価で参加できるセミナースペースを設けて、県民の文化レベルを上げられるようにするというのもいいですよね。

 僕が沖縄県知事ならショッピングモールではなく、県民のために絶対にそういうものを創るなぁ。経済面ではそれが新たなる雇用を生むでしょうし、文化的歴史的な理解が深まります。また、子どものいる家族にとっては「雨の日はイオン」を解消させることもできます。2月の沖縄滞在は雨天が多かったものですから、そんなことを考えながら時間を過ごしておりました。今年の知事選に立候補する人たち、マニュフェストに組み入れていただければ嬉しく思います。

木村達哉拝

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