2021沖縄の災害を振り返る(上)「全国初」の情報が2つも
- 2022/1/1
- 社会
主な災害の振り返り
この他の災害も振り返る。先に取り上げた「顕著な大雨に関する情報」は、沖縄の梅雨末期に降る強い雨に関しての情報だった。そこで2011年の梅雨の状況をまず見てみよう。
【梅雨】
2021年の梅雨は、5月5日11:00に沖縄気象台から「沖縄地方が梅雨入りしたとみられる」と発表され梅雨入りとなった。これは一昨年2020年より11日早く、平年より5日早い梅雨入りだった。一方で梅雨明けは遅く、7月2日11:00に「沖縄地方が梅雨明けしたとみられる」と速報値の発表があり、その後「梅雨明けは7月3日ごろ」と確定値の発表があった。一昨年より21日遅く、平年より12日遅い梅雨明けだった。また、5月と6月の2か月間降水量を見ると、那覇では平年529.7mmに対して昨年は1057.0mmを観測し、約2倍の降水量となった一方、宮古島では同じく417.0mmに対して311.5mm、石垣島では398.9mmに対して316.0mmの降水量に留まった。
【新型コロナウイルス感染症】
2011年も新型コロナウイルス感染症の流行が続いた。沖縄県では、5月23日に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が出され、10月1日の解除までおよそ4か月にわたって続いた。その間、7月にはうるま市の病院で200人が感染し71人が死亡するクラスターが発生したほか、8月25日には新規の感染者が809人に達した。
【地震】
昨年、沖縄県内では震度3以上の地震が3回観測された。
1回目は、8月5日06:50頃、台湾付近で発生したマグニチュード6.2、震源の深さ約40kmの地震で、与那国町で震度3を記録した。なおこの地震は、台湾でも与那国島の対岸に位置する宜蘭県などで、日本の震度3に相当する震度3級を記録している。
2回目は、11月11日00:45頃、宮古島近海で発生したマグニチュード6.6、震源の深さ約10kmの地震で、宮古島市で震度3を記録した。なおこの地震に関しては、併せて気象庁から「日本の沿岸では若干の海面変動があるかもしれませんが、被害の心配はありません」の情報も発表された。これは、津波による災害が起こるおそれがなく、津波注意報発表の基準に達しない小さな津波が観測される可能性がある場合に発表される。
3回目は、12月27日17:26頃、宮古島近海で発生したマグニチュード6.0、震源の深さ40kmの地震で、宮古島市平良池間で震度4を、また宮古島市内各地で震度3を観測した。沖縄県内での震度4以上の地震は、2020年1月16日に恩納村で震度4を観測した地震以来、およそ1年11か月ぶりの発生だった。
【軽石】
最後に、現時点でも続いている災害として、軽石の漂着被害について取り上げる。昨年8月13日に、沖縄から東へ約1300km離れた小笠原諸島南硫黄島付近にある海底火山、福徳岡ノ場が噴火した。この海底火山の噴火によって排出された軽石が海流によって沖縄各地に漂着した。12月1日時点で、南大東村と北大東村と、海岸の無い南風原町を除く全ての市町村に漂着し、全県的に影響が発生している。当然ながら港湾にも影響があり、今帰仁村の運天港では、軽石漂着の影響で伊是名島と伊平屋島を結ぶフェリーの運航に支障が出た。影響は他の離島でも発生し、食品など物資の輸送や場所によっては選挙運営の体制にも変更が出る例もあった。また、漁船の出漁や観光産業にも影響が出ている。現時点で抜本的な解決策の検討が進められているが、軽石の産業利用への試みやボランティアによる除去などが続けられている。
後半は、沖縄の代表的な災害である台風について振り返る。