寅年の初詣におすすめお寺と神社 琉球史感じる年の初めに
- 2021/12/31
- 社会
普天満宮と首里の不思議な関係
4つのお寺に対し琉球八社それぞれにも興味深いストーリーがあるのだが、今回は「普天満宮」について紹介しよう。
普天満宮は尚金福王から尚泰久王の頃(15世紀)の創建とされており、普天満洞穴に祀られた神に熊野権現を合祀したことに始まったと伝わる。お隣の普天間神宮寺も、神仏習合の理念により普天満宮の神宮寺として同じ頃に建立されたという。
明治期に入ると日本本土では王政復古を目指す明治新政府によって神仏分離が徹底されたが、沖縄にはそこまで大きな影響が及ばず現在も神社とお寺が隣り合っていることが多い。しかし今は双方別物であることを理解しておきたい。
普天満宮にはこのような言い伝えが残されている。
その昔、首里の桃原に美しい姉妹がおり、特に姉の美しさは国中の噂になるほどだった。しかし姉には人とは違う能力を持つ神人の兆しがあったため人前には出たがらず、一日中家の中で機織りをしていた。
そんなある日、妹の旦那がどうしても姉の顔を一目見たいとお願いしてきた。困り果てた妹は、「私が家の中にいる姉に話かけるから、外から静かに一瞬だけ覗くといい」と伝えた。しかし姉の顔を見た男は、そのあまりの美しさに思わず声が出てしまった。外から覗く男に気付いた姉は気が動転し一目散に外へ逃げ出してしまった。
その後普天満の洞穴まで逃げ、洞窟内で隠れ続けて女神となったという話だ。逃げている途中に宜野湾の嘉数のガマ(洞窟)に一時滞在したとも言われ、現在も嘉数にある「ティラガマ」がそうだ。このガマの場所は興味深く、330号線のファミリーマートバイパス嘉数2丁目店すぐ横にある小高い茂みの中にあるのだ。
330号線の開通と近年の道路整備を行った際にガマの一部だけを保存するため健在の形となったようだ。首里の桃原にも、普天間権現発祥の地という拝所がある。
普天満洞穴は見学することも可能だ。普天満宮の社務所にて見学したい旨を伝えると、巫女さんが入り口まで案内してくれる。時期や都合によって見学出来ないこともあるので、事前に問い合わせてみることをお勧めする。
琉球八社、首里12カ所巡りのお寺それぞれに興味深いストーリーがあるので、興味のある方はぜひ調べてみてほしい。来年は「寅年」だけに、沖縄にとって、皆さんにとって「虎に翼」のような一大飛躍できる一年になりますように!